SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

WAVELTD
トップ > 研究員のSDGsな日々 > 自分だけの景色に出会う。デジタルデトックスで五感をフルに使った旅に

自分だけの景色に出会う。デジタルデトックスで五感をフルに使った旅に

なるほど!

61

デジタルデトックスとは、電子機器やインターネットと距離を置いて心身のリフレッシュを図ること。過去に試したところ、思いのほか密度の濃い一日が送れたことから、今回は旅でも実践してみました!

【はじめに】

つい先日、旅行で愛媛県を訪れた私。この旅ではあるルールを自分に課しました。それは「極力スマートフォンを使用しない」ということ。Webの情報に頼らずに、その土地の魅力を肌で感じたい、と考えたのです。使うのはカメラ機能と時刻表のみ。地域の名所めぐりには観光マップや施設内ガイドを利用しました。

【1日目/内子】

成田空港から松山空港に降り立ったその足で、まずは内陸部のまち、内子へ。静かでレトロな街並みが評判で、真っ先に旅行の候補地に入れていました。内子駅から歩くこと20分。市街地には歴史ある建造物が多く残っており、外観を損なわないよう商業施設や学校、公園などのデザインにも統一感を持たせています。住民の方々のまちづくりへのこだわりが見えました。

まちを歩いて、もう一つ気づいたのが山の神々しさです。内子を囲む山々はあおあおとして霧がかり、神秘的な美しさを醸し出していました。県内には石鎚山という西日本最高峰もある愛媛県。海が美しいイメージでしたが「山の国」でもあるようです。

昔ながらの街並み。奥の山々も幻想的
雲海が見わたせる地区もあるそう。
1916年に建てられた芝居小屋、内子座。現在は改装中で、楽屋のみ入れます。

【2日目/今治、大三島、下灘】

2日目は今治へ。現存12天守のひとつである今治城を見てから、瀬戸内海の大三島に向かいます。途中、通った伯方島には「伯方の塩」の製造工場があります(今回の旅で初めて知った事実)。目的地の大三島もまた、海も山も美しい土地でした。ランチには大三島で獲れる猪骨と猪肉を使ったラーメンを。その後は歩いてすぐの場所にある、大山祇神社に足を運びました。伊予国一宮とも称され、数々の国宝を有する由緒ある神社のようです。

スープ、猪肉ともに、濃厚で美味でした。
壮麗な大山祇神社と境内のご神木(樹齢数千年のクスノキ)

その後、松山に戻りJR「愛ある伊予灘線」で下灘駅へ。インスタ映えするスポットとして有名な駅ですが、私はどちらかというと車窓から見える風景の方が印象に残っています。途中、つつじの咲き乱れる駅を通過し、下灘の数駅前から車窓いっぱいに広がる伊予灘が見え、感動で思わず窓にかけよりました。スマートフォンばかり見ていたら気づけなかった景色です。

下灘駅。夕暮れの光景も美しいそう。

【3日目/松山】

3日目にしてようやく松山を観光。コンパクトシティとして有名で、松山城や道後温泉、繁華街である大街道など観光名所がぎゅっと集まったまちです。主な公共交通機関はバスと路面電車。興味深かったのは、電車が住宅街の中も縫うように走っているということです。鹿児島、高知、長崎と路面電車を使えるまちはいくつかあり、大体の都市では大通りを貫くように線路が敷かれています。しかし、松山では大通りから住宅街まで、細かく路線が通っているのが印象的でした。それだけ住民の生活に密着しているのでしょう。また、お遍路さんやしまなみ海道をサイクリングするバックパッカーが多いせいか、安価で過ごしやすい宿泊施設がたくさんあるのも特徴です。

まちの方はみな親切で、地図を持ってうろうろしていると「どこに行くの?どこから来たの?」と何回かお声かけくださったことも。路面電車でも、困っている外国人観光客の方に助け舟を出す地域の方々の姿を幾度となく見かけました。古くから多くの旅人を受け入れてきたまちだからか、自然と言葉や行動にそうした思いやりが現れるのでしょう。人々の温かさにほっこり。「ぜひまた来たい」と思えるまちでした。

松山市の道後温泉本館。松山駅から路面電車で行ける距離です。館内には日本で唯一の皇室専用浴室「又新殿」をガイドしてくれるサービスも。

【まとめ】

現代社会は情報があふれていて、Webで検索すれば誰かがアップした記事や写真、動画がいくらでも出てきます。そういったものを見て、体験していないこともいつの間にか「知ったつもり」になってはいないでしょうか。しかし、スマートフォンをオフにして五感を研ぎ澄ませれば、自分で経験しないと分からない、その土地の魅力を知ることができます。画面から目を離し、景色の美しさに魅了され、おいしい地のものに舌鼓を打ち、現地の方々のやさしさにふれる――。きっと、心身をリフレッシュできる素敵な体験ができるはず。また、そうした私たちの行動が旅先の地域の観光を支え、持続可能なまちづくりにもつなげていけるのかもしれません。ぜひ、みなさまも「デジタルデトックスな旅」をお試しください!