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【長岡技術科学大学】急速に変化する社会に対応し続けるAI時代の柔軟かつ俊敏なものづくり

なるほど!

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DXやAIが活躍するのは、研究などの限られた分野だけではない。私たちの身近な暮らしに生まれる、新たな価値に迫る。

AIの特徴を抽出する技術と専門知識を融合し新しい世界を生み出す

長岡技術科学大学(長岡技大)では、膨大なデータから規則性や傾向を素早く抽出するというAIの特性の1つをさまざまな分野と融合させることで、新しいものを生み出す研究が進められている。例えば農業の分野では、AIの画像解析により魚を識別し、個別の健康観察を可能とした。これを応用し、1匹1匹の体調に合わせてエサの量を調節するなど、養殖技術の発展へとつなげていく。今後はこの技術を畜産や稲の栽培などに展開し、人の目だけでは行き届かなかった領域まで制御できる、きめ細かな農業の実現が期待される。また企業との共同研究を進めている防災の分野では、水害・災害のリスクをAIが自動判別し、避難判断を支援するシステムの開発を行っている。

AIによる映像解析の例:魚を識別して遊泳の軌道データを自動
抽出。行動パターンを状態判別して特徴空間上に表示。

AI時代はユーザー目線でアジャイル的なものづくりを

AIができるのはデータを迅速に提示することまでで、AIから得たデータをどう理解し、どう適用するのかを判断するのは人間だ。AIそのものの技術だけではなく、AIを応用できる人材の育成も必要不可欠だろう。

また社会は絶えず変化し、課題の多様化・複雑化が進んでおり、それに伴いAIなどのデジタル技術やデータサイエンスも変化し続けている。AIを扱う人間もその変化の速さに対応し、アジャイル的な(柔軟かつ俊敏な)開発能力が必要とされる。従来は長期使用を前提に製品開発を行っていたが、AI時代はユーザーのニーズが目まぐるしく変化することを前提とする必要がある。現在のニーズに合わせて迅速に製品化し、ユーザーのニーズに適宜対応して改良版を出すといった、ユーザーの目線に立ったものづくりの実現が求められているのだ。

急速に変化する地域社会のニーズにも対応できる人材を育成

長岡技大は、「技術革新フロンティアコース」を新設。地域社会からの要求や重要度の高い融合領域に対応できる人材の育成を行うための教育プログラムを構築した。このコースの特徴は、1年入学者は2年2学期、高専からの3年次編入者は3年1学期と、早期から研究室に配属し、先端科学を用いて問題提起から課題解決までの一連の流れを実際に体験し、未踏分野や融合領域に果敢にチャレンジするカリキュラムだ。従来の教育方法とは異なり、「まずは実際にやってみる」というアジャイル的な手法を取り入れることで、変化し続けるAI時代に対応できる柔軟性と俊敏さを兼ね備えた人材の育成を目指す。

掲載紙

今回のインタビューは、東洋経済新報社と株式会社WAVEが制作した「東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1」に掲載されています。

東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1未来社会を担うDX・AI その真価を解き明かす

東洋経済ACADEMICシリーズから【DX・AI】に関する書籍が発刊。
Sociaty5.0で示される日本社会の未来を実現するために、社会課題解決に資する人材育成、研究が現在ほど求められている時代はない。今日、ウィズコロナ時代に向けて、DX推進・AI活用は、産業界のみならず、教育界の先進分野として世界の注目を集めている。文部科学省をはじめとする各省庁の動きからも、データサイエンス教育やデジタルとフィジカル融合型の研究手法への支援は力強く展開中である。本誌では、教育・研究の場におけるDX推進・AI活用を実現する多様な事例を紹介し、それらを加速・推進する次世代教育・研究モデルの核心に迫る。