SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

WAVELTD
トップ > 取り組み紹介 > ハイブリッドなIT環境によるデジタル変革で実現する世界とは
日本アイ・ビー・エム株式会社 塩塚 英己

ハイブリッドなIT環境によるデジタル変革で実現する世界とは
日本アイ・ビー・エム株式会社 塩塚 英己

日本のITを牽引し続けてきたIBMが目指す、 次代のデジタル社会のあり方に迫る。

テクノロジーの発展とともに 企業の課題が 複雑化する現代

日本IBMはいち早く時代の最先端技術を取り込み、各企業に提供することで社会に貢献してきました。IBM WatsonをはじめとしたAIテクノロジーやクラウドの活用がその代表例であり、各企業の課題解決をワンストップでご支援してきた実績があります。今、コロナ禍を経て、企業ではビジネスモデルの転換が求められてきています。 リモートワークの普及など急速な「オンライン志向」への変化に加え、SDGsが掲げる普遍的で公共の利益に資するという目標は、一企業だけで解決できるものではありません。かつて垂直統合の形態で進んでいたITビジネスは、各企業の強みを生かす水平分業型にシフトしつつあり、製品やサービスは細分化し続けているという現状もあります。大手クラウドサービスプロバイダー(ハイパースケーラー)との連携を前提とした基幹システムの設計や、SaaS(Software as a Service)の活用はもはや必須であると言えます。

新しいビジネスの枠組みと ハイブリッド化が起こす デジタル変革

これからは企業や業界の垣根を越えて、1つの課題を集合知によって解決する、新しいエコシステムの共制が必要だと考えています。企業、人、家電、公共施設など、あらゆるものからデータが収集され、蓄積される現代。これらのデータを各社が広く共有し、お互いに補完しながら活用することで生まれるデータの循環こそが、新しい価値を生み出すカギになるのではないでしょうか。このような新しいビジネスの枠組みを発展させるために、日本IBMはオープンな技術を活用したシステムの 「ハイブリッド化」を推進しています。ハイブリッド化とは、自社で所有しているシステムやクラウド上のシステムなどを、 共通の設計思想のもとでオープンな技術を使ってIT基盤を構築することです。

そうすると開発したアプリケーションがどこでも稼働できるようになります。Red Hat OpenShiftは、そうした設計思想を実装するソフトウェアで、パートナー企業の提供するサービスなども安定して動作するシステム環境を提供します。これにより、パートナー企業は自社サービスを運用するプラットフォームについて悩まずに済むようになり、企業同士の新たなシステム連携を実現します。オープンな技術を活用したハイブリッドなIT環境が、アプリケーションの可搬性やデータ循環の礎となるのです。また、AIテクノロジーについても同様に、活用領域の拡大に注力しています。ビジネス向けAIのIBM Watsonは、当初IBM Cloud上で稼働するアプリケーションでした。しかし現在は「Watson Anywhere」として、 さまざまなクラウドで稼働し、 どこでもAI解析が可能に。課題を解決するための1つのツールとして、AIはさらに身近な存在になっています。

次代のデジタル社会に向けた IBMの取り組みとは

豊かなデジタル社会を創造するためには、テクノロジーの提供だけではなく、それを活用するIT人材の育成も重要です。 日本のDXはいまだ欧米諸国に比べ遅れていると言われていますが、実際に、IT人材がいないためにユーザー企業がITべンダーに任せてしまうということもあります。また経済産業省の試算によると、2030年にはIT人材が最大79万人不足すると言われています。そこで日本IBMは、次代のIT人材を育成するさまざまな取り組みを行っています。例えばP-TECHと呼ばれる官民連携で展開する新しい教育モデルは、教育行政・学校・企業がパートナーシップを結び、参加する学生・生徒に需要の高いITスキルを提供。具体的なキャリアプランの相談やメンタリング、インターンシップなども行っており、即戦力となるIT人材が輩出されています。また、SkillsBuildと呼ばれるIBM発の社会貢献プログラムもあり、そこではこれまでの経歴、教育や人生経験にかかわらず、誰もがITに関する今の社会で需要の高いスキルを習得することが可能です。このように、今後も日本IBMはテクノロジーの発展に寄与するだけではなく、それを使い課題を解決する人材の養成にも注力し、社会に貢献していきます。

<Profile>

塩塚 英己 SHIOZUKA HIDEKI

日本アイ・ビー・エム株式会社

製造業のお客様を担当する営業から営本部長、コンサルティングパートナー、 BPO事業部長などを歴任。
現在、テクノロジー事業本部データ・AI・オートメーション事業部長。

掲載紙

今回のインタビューは、東洋経済新報社と株式会社WAVEが制作した「東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1」に掲載されています。

東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1未来社会を担うDX・AI その真価を解き明かす

東洋経済ACADEMICシリーズから【DX・AI】に関する書籍が発刊。
Sociaty5.0で示される日本社会の未来を実現するために、社会課題解決に資する人材育成、研究が現在ほど求められている時代はない。今日、ウィズコロナ時代に向けて、DX推進・AI活用は、産業界のみならず、教育界の先進分野として世界の注目を集めている。文部科学省をはじめとする各省庁の動きからも、データサイエンス教育やデジタルとフィジカル融合型の研究手法への支援は力強く展開中である。本誌では、教育・研究の場におけるDX推進・AI活用を実現する多様な事例を紹介し、それらを加速・推進する次世代教育・研究モデルの核心に迫る。