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【ユネスコスクール】「UNESCO ASPnet近畿・北陸ブロック大会 SDGs連携多角化プロジェクト 多様な視点でSDGs!」イベント参加レポート

なるほど!

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SDGsという言葉の認知度は大きく向上し、社会のいたるところで取り組みが見られるようになっています。一方で本質的にはSDGs達成に貢献しない、表面を取り繕ったSDGsウォッシュと呼ばれるような活動も増加。こうした中で、課題の本質に向き合い、最も真剣に取り組んでいるのは、次の時代を担う子どもたちかもしれません。学校の授業だけでなく、部活動や生徒会など課外活動も含め、それぞれが関心のある課題の解決を目指して活動をしています。

ASPnet(ユネスコスクール)はSDGsや社会課題に関心の高い小学校・中学校・高等学校が加盟する国際的なネットワークです。当サイトを運営する株式会社WAVEは、2022年11月に大阪・関西ユネスコスクール(ASPnet)ネットワークが実施したイベントに参加しました。今回は、当日のワークショップの様子をレポートします。

全国の教育機関が所属する「連携」のためのネットワーク

2022年11月6日(日)に大阪教育大学附属高等学校池田校舎で、文部科学省と大阪・関西ユネスコスクール(ASPnet)ネットワーク、大阪公立大学の主催で「2022年度 UNESCO ASPnet近畿・北陸ブロック大会 SDGs連携多角化プロジェクト 多様な視点でSDGs!」が開催されました。関西圏の小中高の生徒と大学教員や企業、自治体がSDGsの達成を目指すそれぞれの取り組みについて共有するワークショップです。私たち株式会社WAVEも参加し、企画制作会社として行っている取り組みを発表してきました。

まずは、イベントレポートの前に、ASPnetがどのように成り立ち、何を行っているのかをご紹介します。

戦争は人の心の中で生れるものであるから、

人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。

国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章) 前文

これは、1945年11月に採択されたユネスコ憲章の前文です。世界大戦への反省から、対話と相互理解に基づき、人類の知的および倫理的連帯の上に平和を築かなければいけないという精神に則り、1946年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が発足しました。このユネスコの理念を教育現場で実践するため、1953年に立ち上がった国際的ネットワークが、ASPnetです。加盟校同士が交流し、生徒間・教師間で情報や体験を分かち合い、地球規模の問題に対処できるような若者を養成する新しい教育の構築を目指しています。15か国33校からスタートし、近年では世界182か国で11,500校以上の学校が加盟。日本では加盟校をユネスコスクールと呼び、1,120校の保育施設・小学校・中学校・高等学校・大学などが活動しています。年に1度全国のユネスコスクール関係者が一堂に会するユネスコスクール全国大会のほか、各学校間の交流やプロジェクトへの参加機会の創出など、さまざまな形でネットワークが広がっています。

生徒同士のディスカッションで深まる学び

イベントに参加した生徒たちが関心をもつ分野は地域課題から国際課題まで幅広く、ワークショップでの発表内容も授業スタイルに関する提案や研究成果の共有、問題啓発のためのゲーム開発など多岐にわたりました。また、発表の合間には、小中高生が入り混じり、発表を聞いて得た新しい発見や各取り組みの共通点を探し、ディスカッションを行いました。意見を交換する中では、小学生が高校生の発表内容に関心を持ち、自分たちが行う取り組みに導入する意欲を示していました。また、ある学校が開発したゲームを自分の学校でも実施してほしいと打診するなど、これまで取り組んできた分野や年齢の違いを超えて、新しい発見や交流があちこちで生まれていました。

各団体の発表タイトルの一覧は下記の通りです。

〇大阪府立住吉高等学校 

テーマ:「The Importance of Our School」

〇United Nations, Department of Global Communications, Outreach Department(United Nations, Academic Impact, Associate Communications Officer) 寺井浩介様

テーマ:「SDGsと大学の役割~『行動の10年』を見据えて~」

〇大阪公立大学 現代システム科学研究科 黒田桂菜 准教授

テーマ:「海藻や魚とともに豊かな海を考える~大阪湾・瀬戸内海・宇和海~」

〇滋賀県庁琵琶湖環境部 環境政策課 活動推進係 志村 昌俊 様

テーマ:「琵琶湖が育む滋賀の暮らし」

〇奈良県立国際高等学校

テーマ:「つながりが生み出す私たちの未来」

〇神戸市立大沢中学校

テーマ:「未来の大沢町のために 今私たちができること」

〇帝塚山学院中学校高等学校

テーマ:「Room to Read 活動について」

〇The Philippines Normal University (フィリピン教育大学 学生)Ms. Armina Aliah S. Damias(4 年), Ms. Mary Loraine S. Natividad(4 年)

テーマ:「Mapping Metro Manila Special Education Institutions and Students with Learning Disabilities」

テーマ:「フィリピン教育大学でのSDGs」

〇大阪教育大学附属高等学校池田校舎

テーマ:「義務教育期における起業家教育の重要性」

〇株式会社WAVE

テーマ:後述

〇京都・嵐山「良彌」(中央観光株式会社)取締役副社長 佃 幸千代様

テーマ:「“ハラール食”を提供する嵐山のレストランの挑戦」

私たちに世界は変えられるか?~企画制作会社にできること~

私たち株式会社WAVEの発表タイトルは「私たちに世界は変えられるか?~企画制作会社にできること」でした。“日々の身近な取り組みから始めよう。” SDGsを啓発する際に合言葉のように言われてきたフレーズですが、本当に自分の一つの行動で世界が変わるのか?と誰もが一度は考えたことがあると思います。今回はその疑問に答えるべく、私たちが日々持続可能な社会の実現に向けて取り組む事業の内容と根底にある考え方を紹介しました。教育機関や企業の広報冊子・WEBサイトなどを企画制作するWAVEの活動は、SDGsの特定のゴールにアプローチするものではありません。私たちにできることは、教育機関や企業の行うSDGsに関する取り組みの魅力を発見し効果的に発信すること。それはSDGsそのものの啓発につながります。

私たちの活動の根底にあるのは、バタフライエフェクトという考え方です。蝶のかすかな羽ばたきが、海をわたり時を超えて、やがて竜巻を起こすほどの力をもつ。たとえ微力だとしても、なにが本質的にSDGs達成に貢献するのか、本当の価値を考え行動し続けることが大切であるということを伝える発表でした。発表後、ある教員から「WAVEの取り組みは直接的に課題を解決するというより、つながりを生み出す取り組みであり、そのことが新鮮だった」と感想をいただきました。

企画制作会社としてSDGsへの関わり方を表したスライド

「蝶」は羽ばたき続ける。私たちに世界は変えられる。

各団体の発表を聞きディスカッションを重ねる中でキーワードとなったのは「つながり」。取り組みに欠かせなかった学外団体とのつながりや、活動の源となった海外の子どもたちとの目に見えないつながり、そして、このワークショップの中で生まれるつながり。行動の10年において「連携」は一つのキーワードとして捉えられていますが、同じことを生徒たちはワークショップの中で導き出していきました。今回のイベントで大きな意味をもっていたのは発表の合間にあるディスカッション。他校の行う取り組みのインプットに留めず、その場で感想をアウトプットし一般化しておくことで、学び得たことを今後自分たちの活動にも生かすことができます。

冒頭で述べたように、SDGsという言葉が独り歩きして表面的な活動も増えており、SDGsが目指すものの本質を社会が見失いつつあります。一方で真剣に社会課題に向き合い、本質的に何が解決に必要なのかを考えて行動し続ける子どもたちの姿は、そんな懸念が杞憂であることを伝えてくれるようでした。また、今回のワークショップのような「つながり」を大切にする、彼らの活動は少しずつ広がり社会を変えていきます。多くの学校が加盟し、つながりを生み出すASPnet。一生懸命羽ばたく「蝶」たちの姿が、そこにはありました。

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