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「何のための慈善?支援?」 客観的な視点を大切に。 ヘアドネーションに向けての思いを綴る。

ヘアドネーションという言葉を聞いたことがあるでしょうか。病気などが原因で、先天的・後天的に頭髪の少ない(ない)子ども向けのウィッグをつくるため、広く一般から髪を提供する活動のことです。一般にウィッグは高価であり、誰もが簡単に買えるわけではありません。この活動は、そうした悩みを抱える一人でも多くの子どもの元に、無償でウィッグを届けられるようにと、1990年代のアメリカからスタートしました。日本でも柴咲コウさんなどの有名人が参画し、広く知られるようになりました。

31cm以上であれば、多少のダメージを受けていても寄付が可能(カラー、パーマ、ブリーチ、グレイヘアOK)。
カビの繁殖等を防ぐため乾いた髪であること、エクステなどに加工しないこと。

美容室で切るのも、セルフカットでもOK!
束の髪を支援団体に送ります。

これらを満たせば、誰でも提供可能です。
(参考:Japan Hair Donation & Charity(JHD&C)

実は筆者も数年前からヘアドネーションに興味を持ち、髪を伸ばしています。

自分の髪を切って提供するだけで高価なウィッグがつくれて、誰かの悩みを解消できる!

金銭的な支援は継続しづらいのに対し、ヘアドネーションは少ない費用負担(カット代、髪の郵送代金など)で社会貢献できる。長期にわたり支援対象の子どもたちへの関心を保ち続けるきっかけにもなる。こんな支援の方法があるのかと、目から鱗でした。

しかし世間には、ヘアドネーションを批判的に見る考えもあります。

「善意の押し売りではないか」
「髪が少ないマイノリティへの差別につながらないか(子どもに髪があることが普通とする考えが正しいわけではない)」
「ウィッグを装着することで『外れてしまったらどうしよう』という心理的負担が生まれる」「子どもの頭は汗をかきやすいのでウィッグが地肌に炎症を起こす可能性もある」など。

そうした声はもっともです。
ただ、筆者は子どもたちが選択肢を多く持てる世の中であってほしいと願っています。

ウィッグをつけるのもつけないのも自由。ただ、もし頭髪のことで悩んでいる子どもがいるのなら、経済的な理由などで諦めてしまってほしくないのです。

善意を受け取る側がどう感じるか。
自分の「よかれ」が他人と同じとは限らない。

これは、ヘアドネーションに限らず、他の慈善活動にも言えること。
ただ「いいことをした!」と自己満足で終わるのでなく、常に客観的な視点を持って行動したい。

ようやく腰まで伸びた髪も切りどき(年内には31cmに到達しそうです!)。
改めてヘアドネーションについて調べ、「慈善」「支援」の意味を考える今日この頃です。

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