とにかく愛おしくて、生活に潤いと癒しをもたらしてくれるペット。一度飼ったことのある人なら、家族の一員として愛情を注ぐ喜びを知っているでしょう。しかし、世の中には買主の育児放棄などさまざまな事情で行き場をなくし、新たな飼い主との出会いを待つ動物が数多くいます。わが家で飼っているトイプードルも元保護犬でした。犬や猫を飼うことを考えるなら、保護動物を迎えるという選択肢もあると知っていただきたいです。
保護犬めいちゃんとの出会い
今年わが家にやって来た1匹のわんちゃん。5月にお迎えしたので名前は「めいちゃん」です。出会いのきっかけは、近所の動物病院に貼り出されていた「里親募集中」の張り紙。数年前に亡くなった先住犬(この子も保護犬でした)のロスが落ち着き、次のペットのお迎えを検討していた頃、たまたまこの紙を目にしました。家族で相談の上、一度会ってみることに。
現れたのは目がクリクリのトイプードル。すでに保護団体の施設で数ヶ月を過ごしていて人には慣れていましたが、初対面の人間を前に緊張している様子でした。保護の経緯はブリーダー会社の倒産による飼育放棄です。もともとめいちゃんは子犬を産むための繁殖犬でしたが、その会社の倒産に伴い、数多くの繁殖犬たちと放置されたところを保護されました。初の面会からお試しで飼うトライアル期間を経て、正式にわが家の一員になりました。
初めは新しい環境にソワソワしていた様子でした。また、家庭犬としての経験がないためあちこちで粗相をする日々……。根気良く向き合ってトレーニングをし、今ではしっかりトイレでしてくれます。毎日、リビングのソファで仰向けになって寝るのがお気に入りみたいです(笑)。かつては劣悪な環境にいたことを想像すると胸が痛みますが、わが家で幸せな時間を過ごしてほしいと思うばかりです。
まずは、ペット業界の事情を知るところから
ペットショップに並ぶ犬や猫は、めいちゃんのような繁殖犬が産んだ子たちがほとんどです。動物愛護の観点から、繁殖犬が出産できる回数は6回まで、交配時の年齢は原則6歳以下と、令和3年の法改正で定められました。そして、繁殖犬としての役目を終えた繁殖引退犬は、その飼い主であるブリーダーが責任を持って最後まで飼育することが求められています。しかし業者の中には経営難や人手不足などで飼育を放棄するところも。上記のように、法律で出産・交配にまつわる数値基準が設けられたことで経営難に陥り、飼育が困難になるケースもあるようです。
とはいえ、それは人間の都合。いかなる動物も幸せになるべきだと思います。このほかにも、さまざまな理由で飼い主がいない、もしくは失ってしまった動物は数多くいます。全国の犬・猫の殺処分数は減少傾向にあるとはいえ、ゼロではありません。
(出典|環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html)
ペットショップでお迎えするのも一つの選択肢ですが、保護された動物の幸せを願うことも考えてみてはいかがでしょうか。もちろん、どんな出会いであっても、最後まで責任を持って愛情を注ぐことが大切です。
毎日たくさんの表情を見せてくれるめいちゃん。彼女がわが家に来てから、家族の笑顔が増えたような気がします。仕事から帰宅し、リビングで無防備にくつろいでいる姿を見るだけで疲れも忘れてしまう。そんな癒しの存在です。これからも色々なところに一緒に出かけて、思い出を増やしていきたいものです。