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しばらく、お肉をお休みしました

なるほど!

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「地球環境のために、ヴィーガンになった」。大学時代に留学先のスウェーデンで出会った友人の言葉です。あれから数年が経った今、当時よりも肉や動物性食品の大量消費がもたらす環境負荷について、メディアでよく取り上げられるようになったと感じます。今回は、肉料理をこよなく愛する筆者が、「地球環境を守る」という視点でお肉をセーブした食生活を送った数日間のことを共有します。

肉を食べることが、なぜ環境に悪いのか。

冒頭で紹介した友人の言葉。これを聞いた当時の筆者は、正直なところあまり実感が持てませんでした。たしかに、牛のゲップからメタンガスが排出されるという話は聞いたことがありましたが、「それくらいなら大したことない」と思い込んでいたのです。むしろ、排気ガスやプラスチックごみの問題の方がよほど深刻だと思っていましたし、「美味しいお肉を我慢するなんて無理!」というのが本音でした。

しかし、実際には、動物性食品がもたらす環境負荷の関連は、牛のゲップの話にとどまりません。畜産の背景には、多くの環境負荷が存在しています。たとえば、家畜を育てるには、大量の穀物や水が必要です。牛肉1kgを生産するのに使われる穀物は、とうもろこし換算で約11kgにもなると言われています。もしこの穀物が飢餓に苦しむ地域へ届いたら、世界の食糧問題の改善につながる可能性もあるでしょう。また、飼料を育てるための農地や放牧地を確保するために、世界中で森林が伐採されています。これは、地球温暖化の防止に欠かせない森林の喪失を意味し、野生動物たちの生息地を奪う原因にもなっています。実際に、そうした環境破壊によって絶滅の危機に瀕している動物も少なくありません。

こうした現実を知り、「知らなかった」では済まされないという思いがこみ上げてきました。できることから行動してみようと考え、お肉を控える食生活を試してみることにしたのです。

「お肉のお休み」やってみた。

① 日本のヴィーガン食材「納豆・豆腐」

お肉の代わりになる食材として、まず思い浮かんだのが大豆製品。日本ではヴィーガンレストランを見つけるのはまだ難しい印象がありますが、実は、日本生まれの納豆や豆腐は、立派なヴィーガンフードです。私が作ったのは、刻んだオクラ・大葉・トマトを冷奴に載せた一皿。暑さで食欲が落ちた日でもスッと食べられて、満足感が得られました。

② 新しい発見も!「季節野菜のフリット」

「野菜を、食卓のメインとして楽しみたい!」そんな思いから作ったのが、季節野菜のフリットです。選んだ具材は、ヤングコーン、みょうが、ズッキーニの3種類。ヤングコーンは、ひげまでまるごと食べられ、甘みたっぷりで最高のごちそうに!みょうがは、これまで薬味としてしか使ったことがありませんでしたが、揚げると驚くほど甘みが引き立ち、新しい美味しさに出会えました。

③ やさしいごちそう「豆乳と大根のポタージュ」

野菜の新しい食べ方と出会う楽しさに味を占めた筆者は、大根のポタージュにも挑戦。豆乳を使ったことで、こくがありながらも後味はすっきり。やさしい味わいのごちそうスープになりました。

他にも様々なメニューに挑戦し、数日間のお肉お休み生活を大満喫。その中で特に感じたのは、旬の野菜を味わい季節を感じる楽しさ。そして、野菜中心の食事で得られる、「重たさの残らない満腹感」の心地良さでした。

そしてなにより、「食事の選択肢を広げる」ということの価値を実感。最初からお肉を完全に「やめる」のはハードルが高いですが、「広げる」ことなら気軽に始められるはず。ぜひ、SDGsの視点も意識しながら、まずは無理のない範囲で、自分の食事を見直してみてはいかがでしょうか。

<参考>
お肉の自給率:農林水産省
ゲップだけじゃない、牛肉生産による環境負荷【1】土地利用変化 |WWFジャパン