緑茶や紅茶、ほうじ茶にハーブティー。お茶には、気分や体調に合わせて選べるたくさんのバリエーションがあります。筆者自身もお茶好きで、自宅には常時30種類以上の茶葉をストック。外出時には水筒にお気に入りのお茶を入れて持ち歩くのが習慣です。その日の気分に応じて選べる楽しさこそ、お茶の大きな魅力のひとつ。そして、味わう際の楽しさにとどまらず、健康を支え、環境への負担を減らす力も秘めています。

健康のために「お茶」という選択を
1)水分補給は未来の自分への健康投資
暑い夏を乗り切るためには、こまめな水分補給が欠かせません。体内の水分が不足すると、脳梗塞や心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスクを高めてしまいます。体重50kgの方であれば、食事からの摂取分も含めて1日あたり約2リットルが必要とされており、飲み物としての摂取量はコップ6杯程度が目安。70kgの方なら、7〜8杯分ほどが必要となります。
せっかくなら、おいしく、飲みたくなるものを選びたい」。そんな時、お茶は種類も豊富で、気分に合わせて楽しめる、頼もしい選択肢です。
2)無糖なら、もっと安心・ヘルシー
市販の甘い清涼飲料水には、想像以上の糖分が含まれています。たとえば、500mlのペットボトル飲料には、角砂糖に換算して10個分以上の砂糖が入っていることも珍しくありません。
飲料 | 角砂糖換算(500mlあたり) |
ファンタ(グレープ) | 約17個(57.5g) |
午後の紅茶 ミルクティー | 約11個(37.5g) |
いろはす もも味 | 約8個(26.6g) |
体重・体型が気になっている方や高血圧気味の方は、飲み物を見直してみてはいかがでしょうか。自分で淹れるお茶なら、砂糖の量を調節できます。無糖や砂糖控えめのお茶を選べば、甘さによる糖質の摂りすぎを気にせず、安心して水分補給ができます。
3)カフェインとの上手な付き合い方
飲み物を選ぶとき、カフェインの有無を気にされる方も多いのではないでしょうか。お茶のカフェイン含有量は種類によって大きく異なります。「夜はカフェインを控えたい」「朝はシャキッと目覚めたい」——そんな気分に応じて、カフェイン量でお茶を選ぶのもひとつの方法です。
お茶の種類 | カフェイン量(100mlあたり) |
玉露 | 130mg |
紅茶 | 30mg |
緑茶・煎茶・ほうじ茶・ウーロン茶 | 20mg |
番茶・玄米茶 | 10mg |
麦茶・ルイボスティー・黒豆茶 | 0mg |
参考:コーヒー | 60mg |
なお、カフェインを多く含む飲み物を飲むと、利尿作用によって体外に水分が排出されやすくなります。水分補給のつもりが、かえって脱水につながる場合もあるため、暑い季節には特に注意が必要です。
4)キーワードで選ぶ、楽しいセルフケア
お茶は、種類によってさまざまな健康サポート効果が期待できます。気になるキーワードから、お茶を選んでみても面白いかもしれません。
効果 | おすすめのお茶 |
抗酸化作用 | 緑茶・ウーロン茶 |
リラックス | ほうじ茶・カモミールティー |
脂肪燃焼・ダイエット | プーアール茶・ウーロン茶 |
腸活 | 黒豆茶・杜仲茶 |
血糖値サポート | 桑の葉茶・ゴーヤ茶 |
ティータイムをもっと気軽に。心をゆたかにする、お茶のある暮らし
お茶と聞くと、格式高い茶道や上品なティータイムを連想し、敷居が高そうに感じる方もいるのではないでしょうか。しかし実は、ティーバッグをカップに入れるだけでも立派な「お茶時間」です。例えば、アフタヌーンティー文化発祥の地イギリスでも、日常ではティーバッグでお茶を淹れるのが主流。アメリカでは電子レンジで淹れることも多いそう。最近では、便利な急須やミルクティーメーカーなど、手軽に使える道具も増えています。気負わず、自分らしいスタイルで楽しんでみてください。
甘いフレーバーティーをお菓子代わりに楽しんだり、和菓子やお料理とのペアリングを試したりと、お茶の楽しみ方は無限大。お気に入りの一杯を見つけることが、毎日の楽しみにもつながります。暑い日は、炭酸水にティーバッグを入れて冷蔵庫で寝かせるだけの「ティーソーダ」もおすすめ。香りの強いフルーツティーやアールグレイで作ると、美味しく仕上がります。

和紅茶で日本の産業を応援しよう
「日本のお茶といえば緑茶」「紅茶は外国で作られるもの」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし近年、日本で栽培・加工される紅茶 「和紅茶」が注目を集めています。和紅茶は、日本の軟水に合うように調整されているため、 まろやかでやさしい味わいが特長。紅茶が苦手な方でも飲みやすいだけでなく、地域で作られたものを地域で楽しむ「地産地消」にもつながります。
お茶一杯から始める、自分と地球にやさしい選択
私たちの体の約60%を占める水分。せっかくなら、楽しく、健康的で、そして地球にもやさしい一杯を選んでみませんか?お茶は私たちの体と心をうるおし、毎日の暮らしにやさしい彩りを添えてくれます。熱中症対策としての水分補給はもちろん、リラックスや気分転換、地域貢献、プラスチック削減…。お茶一杯の中には、さまざまな「いいこと」が詰まっています。
「なんだか口寂しい」「ほっと一息つきたい」——そんな瞬間にお茶を取り入れて、サステナブルな毎日を始めてみませんか。
<参考>