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ゾウ乗りは動物虐待?観光・レジャーと動物福祉の関係性

なるほど!

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今年の年末年始は、タイで過ごしました。日本とは異なる暖かな気候の中で、おいしいエスニック料理を味わい、心身ともにリフレッシュする時間となりました。タイを象徴する動物といえば、ゾウ。観光資源として親しまれる一方で、ゾウの扱いを巡って世界的に議論されています。人と動物が心地よく過ごしていくためのヒントを、筆者の経験を通してお伝えします。

タイの観光名物ゾウ乗りに対する賛否の声

寺院やアユタヤ遺跡などさまざまな観光地を巡る中で、オプショナルツアーの一部として体験したのが「ゾウ乗り」です。タイでは有名なアクティビティの一つで、ゾウの背中に乗って村の周囲をゆっくりと見て回ることができます。穏やかな揺れとともに進んでいく時間は、非日常を感じる特別な体験でした。また、ゾウの背中は想像よりも高かったり、鼻を使ってゾウ使いを背中に乗せていたりと、驚きの連続でもありました。

長年観光の目玉として親しまれてきたゾウ乗りですが、その一方で近年動物福祉の観点から批判の声も高まっています。観光に使われるゾウの多くは狭い環境で鎖につながれ、過酷な調教を受けているケースが少なくないといいます。実際、私が訪れた村でも数頭のゾウが鎖につながれている光景を目にしました。また、ゾウ使いは基本的に声でゾウを操っていましたが、手にはブルフックと呼ばれる鎌のような金属の道具を持っており、指示を聞かない場合には体に痛みを与えるのかもしれません。

世界からの批判の声を受けて、タイのチェンマイにある観光施設や、カンボジアのアンコール遺跡では、ゾウ乗りが禁止になりました。代わりに、餌やり体験や、自然に近い生活をしているゾウを観察するツアーなど、新しいゾウ観光の在り方が広まっているそうです。

ゾウ乗りは確かに日本ではできない貴重な体験ですが、観光客としてそれを楽しむだけでなく、動物福祉の面にも目を向ける必要があると感じました。

将来、日本のイルカショーが無くなるかもしれない?

こうした問題は、タイのゾウ乗りに限った話ではありません。日本の水族館で高い人気を誇るイルカショーも、同様に議論の対象となっています。日本では長年定番コンテンツとして親しまれ、イルカのダイナミックなジャンプやトレーナーとの息の合った演技に、多くの人が歓声を上げてきました(水族館好きの筆者は、名古屋港水族館のイルカショーがお気に入りです)。しかし、一日に何度も繰り返されるショーは、イルカの負担になっている可能性があります。泳ぐ際に低くジャンプすることはありますが、本来ショーのように高くジャンプすることはないからです。海外では、動物福祉の観点からイルカショーを禁止、あるいは制限する動きが広がっています。日本国内でもイルカショーの実施を見直す水族館が少しずつ増えているといいます。世界的な価値観の変化を前に、水族館を訪れる私たち一般市民も価値観のアップデートが必要なのかもしれません。

ゾウ乗りやイルカショーは、私たちに非日常の楽しさや感動を与えてくれます。娯楽として、またお金を稼ぐための手段として、観光・レジャーの現場で動物を調教することは無くならないかもしれません。しかし、動物たちの暮らしや負担に目を向けたとき、人の楽しみと動物福祉はどのような関係であるべきなのか、議論を続けることが大切であると感じます。

〈参考〉
Captive elephants still suffering in Thailand, but new report finds some hope