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偉大な自然と共生する島、アイスランドを旅して② ~遥かなる大地が生み出す、持続可能なエネルギー~

なるほど!

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筆者が2025年夏に訪れた、アイスランド。2025年10月28日に投稿した記事ではその雄大な自然との共生のあり方をご紹介しましたが、今回はアイスランド特有の地質が生み出す、持続可能なクリーンエネルギーについて想いを馳せてみました。

地球の恵みを電力に変える、自給自足の国

アイスランドを車で観光すると出会う、地面のあちこちから立ち上る白い煙。その正体は、地下から噴出する地熱蒸気です。アイスランドの異名は「火と氷の国」。国内で使われるエネルギーも、その名の通り地熱や水力が中心です。豊かな氷河や雪解け水を利用した水力発電と、活発な火山活動による地熱発電を組み合わせることで、電力供給のほぼ100%を再生可能エネルギーで賄っているのです。
地熱発電所から出る温水はパイプラインを通じて道路の雪を溶かし、各家庭の暖房などに幅広く使用されています。温室での野菜・果物栽培にも使われるそうです。

都心部を少し離れると見ることができる湯けむり
一定の周期で水蒸気や熱湯を噴出する「間欠泉」も見どころ

余談その1:噴出する湯けむりを火事と見間違い「煙たなびく湾」と呼んだことが、首都「レイキャビーク」の由来になったそう。
余談その2:地熱発電には、蒸気中の腐食性成分に耐えうる精密な金属加工技術が不可欠。アイスランドの発電所では日本製のタービン(発電機)が多く使われているそうです。日本のものづくり技術が遠い地で人々の生活を支えていると思うと、不思議と身近に思えてきますね。

ブルーラグーンに代表される、地熱と結びついた文化

この豊富な地熱エネルギーを、より身近に体感できる場所が市民プールです。アイスランドでは、地熱によって安価に供給される温水を利用して、一年中温水プールが運営されています。冬が長く厳しい気候でありながら、人々が屋外プールを憩いの場として楽しめるのは、地熱エネルギーのおかげなのです。
筆者も夜の市民プールを訪れました。夏とはいえ北極圏に近い夜の外気は冷たく、凍えるほどの寒さでしたが、温水ゾーンに浸かると温まることができました。

夏は深夜に日が沈む国。
22時でも子どもがプールではしゃいでいて驚きました

発電後の熱水を活用する仕組みで有名なのが、観光スポットとしても名高い露天温泉「ブルーラグーン」です。5,000㎡もの広さを誇る青い海のような温泉ですが、実はここも隣接する地熱発電所の排水を利用して作られた施設です。本来なら捨てられてしまうはずの熱水を世界的な観光資源に変えた好事例と言えるでしょう。

遠く離れた「地熱大国」から学ぶこと

アイスランドではオイルショック以降、国策としてインフラ整備が進められ、地熱発電が拡大されてきました。
実は、同じように活火山が多い日本も、世界第3位の地熱資源量を誇る「地熱大国」であることをご存知でしょうか。しかし、日本では地熱資源のある場所が国立公園や温泉地と重なっていることが多く、景観の保護や温泉が枯渇する懸念から、開発には慎重にならざるを得ないという事情があったのです。近年はバイナリー発電という、低温度の地熱・温水・蒸気を利用する発電方法の導入も始まりつつあります。既存の温泉資源への影響を抑えつつ導入可能なため、日本の文化や地形に適した発電方法だと言えます。

お互いの国のエネルギー事情に学びながら、自国の文化や資源の特性に沿った最適なエネルギーの供給源を検討していくこと。そして、直接エネルギー政策に関わらない立場であっても、自国の足元にある資源について関心を持ち、知ろうとする姿勢を忘れないことが大切だと感じました。