SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

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シリーズ第2回は、ウクライナとロシアの街や暮らし、文化について紹介する。

#02 街の概観と国内の文化

街の様子(キーウ)

ウクライナの首都であり人口約296万人(2020年時点)を抱えるキーウ。市内には広大な植物園があるほか、緑豊かな公園が点在し 、緑地が市面積の65%を占める。
キーウが位置するのは、古来より通商路として利用されたドニプロ河(全長1.204km)の中流域。河の右岸には歴史的建造物が残り、現在は行政および商業の中心地としても栄えている。一方、左岸は新興住宅地として高層住宅などの建設が進む。なお、ドニプロ河は、ヴォルガ、ドナウに次ぐヨーロッパ第3の大河で、ウクライナの水道水、水力発電に利用されるほか、水上交通の大動脈でもある。

別名「森の都」と呼ばれるキーウ

気候(キーウ)

キーウは冷帯湿潤大陸性気候に属する。夏は6月~8月まで、11月頃から約半年間は長い冬を迎える。厳寒期(1月)の平均気温は-5℃~10℃だが、近年は比較的暖冬の傾向にある。降雪はあるが、豪雪に見舞われることは少ない。真夏(7月)の平均気温は17℃~30℃で、 日によっては35℃以上になることもあるが、日本と比較すると湿気が少ないため過ごしやすい。

主要祝祭日

1月1日…新年
1月7日…正教クリスマス
3月8日…国際婦人デー
4月~5月上旬…復活祭(年によって日が異なる)
5月1日…メーデー
5月9日…対独戦勝記念日
6月頃…三位一体祭(年によって日が異なる)
6月28日…憲法記念日
8月24日…独立記念日
10月14日…ウクライナ防衛者の日
12月25日…クリスマス(カトリック)

世界遺産

・キエフ:聖ソフィア大聖堂と関連する修道院建築物群、キエフ-ペチェールスカヤ大修道院

1990年、ウクライナ初の世界遺産として登録された。10世紀末キエフ・ルーシがギリシャ正教を国教として公認、その後ビザンチン様式の教会や修道院が建てられた。

・リヴィフ歴史地区

ウクライナ西部にあるリヴィフは中世後期に建設され、行政・宗教・商業の中心地として繁栄した。東欧やイタリア、ドイツの建築や芸術の伝統が融合した中世期の都市の姿をそのままの姿で残している。

その他の世界遺産としては、「ブコヴィナ・ダルマティアの主教座施設」、「古代都市〈タウリカのヘルソネソス〉 とそのホーラ」などがある。

※世界遺産の表記は、UNESCO World Heritage Centreに準拠しています。

リヴィフの街並み

芸術

ウクライナでは、キエフ・ルーシ時代から演劇芸術が盛んで18世紀~19世紀にかけて多くの劇場が建設された。国民の文化や芸術への関心も高く、主要な都市には劇場や交響楽団、音楽・芸術クラブなどが点在する。
バレエでは、モスクワの「ボリジョイバレエ」、サンクトペテルブルクの「マリインスキーバレエ」と並び、旧ソ連の3大バレエに数えられるバレエ団「タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ」がある。

ウクライナ出身の芸術家

・ニコライ・ゴーゴリ(1809-1852)

作家、劇作家。ウクライナ中部にある村 ソロチンツィ出身。1830年ウクライナの農村を舞台にした短編『イワン・クパーラの前夜』を含む小説集により一躍文名をあげる。その他、『検察官』、『隊長ブーリバ』、『死せる魂』などの作品がある。

・タラス・シェフチェンコ (1814-1861)

詩人、画家。キーウ出身。1840年に詩集『吟遊詩人』を発表、ウクライナの国民的詩人としての地位を確立した。反帝政、反専制の態度を崩さず、抑圧されたウクライナ人の悲しみを詠い続けた。

・ウラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)

ピアニスト。キーウ出身、1940年にアメリカへ移住。20世紀を代表するピアニストと称され、キーウでは1995年より2年毎に「ホロビッツ記念国際ピアノコンクール」が開催されている。

食事

一般的にロシア料理として知られているボルシチ(ビーツのスープ)は、実はウクライナが発祥の地。 (諸説あり)その他の伝統的なウクライナ料理には、カツレツ、ヴァレニキ(ウクライナ風餃子)、サーロ(豚の脂身の塩漬)などがある。アルコールで代表的なのはホリールカ(ウォッカ)。

ボルシチ

週末の過ごし方

週末、ウクライナでは多くの人が市内を離れて「ダーチャ」で過ごす。ダーチャとは「別荘」「菜園」と訳され、郊外にある庭付きの小さな家のこと。さまざまな野菜や果物を育てて冬の食糧を確保するため、春から夏にかけて忙しく農作業をする人 も多い。
ソ連崩壊後に経済が悪化し、国策として自給自足が奨励されたことが現在のダーチャのベースになったと言われている。なお、ロシアにも同じくダーチャの文化がある。

※外務省の発表に基づき、都市の名称は「キーウ」にて標記。一部、建物・団体などの固有名詞については「キエフ」としているものもあります
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_000813.html

シリーズ第2回は、ウクライナとロシアの街や暮らし、文化について紹介する。

#02 街の概観と国内の文化

街の様子(モスクワ)

ロシアの首都であり人口1,263万5,466人(2022年1月1日時点)*を抱えるモスクワは、ロシア中西部、モスクワ川中流の川辺に位置する。帝政ロシア、ソ連の首都を経て、現在はロシア連邦の政治・経済・文化の中枢となっている。
文化・芸術の中心地でもあり数多くの教会、劇場、美術館や博物館が点在する。1980年には第22回オリンピック開催の地となった。しかし、ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して、アメリカのカーター大統領がボイコットを呼びかけ、日本、西側諸国、イスラム諸国、中国などが不参加となった。
*出所:ロシア連邦国家統計局

ヨーロッパ最大の都市モスクワ

気候

沿海地帯を除き、典型的な大陸性気候。国土の大部分は寒冷な気候で、夏は短く冷涼で、厳寒の冬は長く続く。モスクワ周辺の1月~2月の平均気温は-10℃前後だが、シベリアでは-15℃~-35℃で、内陸部は-50℃以下になるところもある。高緯度に位置するので、冬は日照時間が短くなる。

主要祝祭日

1月1日…新年
1月7日…正教クリスマス
2月23日…祖国防衛の日
3月8日…国際婦人デー
5月1日…春と労働の祝日
5月9日…対独戦勝記念日
6月12日…ロシアの日
11月4日…国民統一の日

主な世界遺産

・モスクワのクレムリンと赤の広場

クレムリンとは「要塞」を意味する。モスクワの歴史や文化の中心であり、現在もロシア連邦の大統領府が置かれている。建物全体が大きな城壁で囲われた造りになっており、内部には大小新旧様々な宮殿や聖堂などがある。
赤の広場は、クレムリンの正面に位置する。ソ連時代は革命記念日に軍事パレードが行われていたが、ソ連崩壊後は商業利用もされるようになった。なお現代ロシア語の「赤い」は古代スラヴ語の「美しい」を意味する。

・サンクトペテルブルク歴史地区と関連建造物群

かつてロシア帝国の首都であったサンクトペテルブルクの建造物を含む世界遺産。バロック様式の冬宮(現エルミタージュ美術館)などの華麗な建造物が含まれる。

・カムチャツカの火山群

カムチャツカ半島は世界有数の火山地帯で、さまざまな噴火様式やそれが生み出した地形が存在することから「火山の博物館」とも言われる。開発があまり行われてこなかったため、生物多様性が保持されており野生動物の貴重な生息地となっている。

・バイカル湖

約2500万年前に誕生した世界で最も古く、最も深い湖。シベリア南東部に位置し、世界の陸水の20%を保有する。約1000種の水棲生物が生息し、バイカルアザラシなどの固有種も見られ、ロシアのガラパゴスとも呼ばれる。

冬のクレムリン

芸術

ロシアはバレエ大国と呼ばれる。バレエは、イタリアのルネッサンス期のダンスを起源とし、フランスの宮廷文化で花開いた。19世紀後半になると、バレエダンサー、振付家であるマリウス・プティパや、作曲家チャイコフスキーなどが活躍しバレエを総合芸術に押し上げ、バレエの中心はロシアへ移った。
歴史ある代表的なロシアのバレエ団は、ボリショイ・バレエ団(モスクワ)、マリインスキー・バレエ団(サンクトペテルブルグ)、ミハイロフスキー・バレエ団(サンクトペテルブルグ)。

ロシアで成熟したといわれるバレエ

ロシア出身の芸術家

・フョードル・ドストエフスキー(1821-1881)

ロシア文学を代表する文豪。処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、急進派のサークル活動への参加により逮捕され、シベリアに流刑。出獄後『死の家の記録』等で復帰。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』等の傑作を生み出した。

・レフ・トルストイ(1828-1910)

ドストエフスキーと並び19世紀ロシアを代表する小説家・思想家。代表作に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『人生論』などがある。

・ピョートル・チャイコフスキー(1840-1893)

作曲家。法務省勤務を経て、ペテルブルク音楽院に入り音楽活動に専念。その後は、モスクワ音楽院の講師を務める傍ら作曲に勤しんだ。ピアノ協奏曲第1番やバレエ音楽『白鳥の湖』をはじめ多くの作品を発表。1893年、最後の作品となる交響曲第6番『悲愴』の初演を指揮した9日後に急逝。

食事

さまざまな民族の料理が混ざり発展してきたロシアの食文化。主食はパンやジャガイモ。
前菜からはじまり、スープ、メイン料理、デザートと順番に一つひとつ料理を出すサービスはロシアで誕生した。作りたての料理を冷めないまま順々に出す形式は、フランスのコース料理の原型となった。

スポーツ

ロシアの国民的スポーツとされるアイスホッケー。ロシアをはじめ、ベラルーシやカザフスタン、フィンランドなど7カ国で構成されるプロアイスホッケーリーグのKHLは北米のNHLに次いで世界で2番目にレベルの高いアイスホッケーリーグとされる。その他サッカー、体操、水泳、バレーボール、フィギュアスケートなども盛ん。

アイスホッケーを楽しむ市民