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DX・AI入門ガイド

昨今、ニュースなどで見聞きしない日はない「DX」や「AI」。その言葉の意味や背景、互いの関係性をご存じだろうか。社会情勢や関連キーワードに触れながら世界を変える概念についてひもとく。

技術基盤が整うことでDXが大きく進展

デジタルトランスフォーメーション、略して「DX」。近頃目にする機会が急増した言葉だが、その概念が初めて提唱されたのは2004年にまでさかのぼる。10年以上も前の考えが、なぜ今日になって声高に叫ばれているのか。それは、DXを実現するための技術的な基盤が整い始めたからだ。

DXを実現するための手段として重要な役割を担うのが「AI(人工知能)」である。2000年代から始まった第3次AIブームで「機械学習」や「深層学習」が登場。ビッグデータを学習することにより、高度な分析や判断、予測が可能になったことも合わさり、DXが加速度的に推進された。

日本では、経済産業省が平成30年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」を設置。DXに関する日本企業の国際的な競争力獲得を後押しする動きが始まっていた。それに拍車をかけたのが、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大だ。多くの企業でオンライン環境の整備が求められるなど、新常態(ニューノーマル)を生み出したパンデミックの猛威は、くしくもDXを大きく進めることにつながった。

教育業界におけるDX推進・AI活用の現状と展望

DX・AIによる環境の変容は教育業界でも起こっている。コロナ禍をきっかけにオンライン授業が一気に浸透し、非対面授業が当たり前になった。「LMS」による効率的な学習状況の管理をはじめ、教育方法自体が高度化している。さらに、AIの活用により教室の使い方を見直して、光熱費を削減するといった大学運営面でのDXも進展しており、教育環境のDXは進みつつある。

一方で、「DX・AIをリテラシーとして学んだ」人材輩出に関して、産業界から教育業界への期待も大きい。産業界ではDXに向けて何から着手すべきか逡巡する企業も多い中、データサイエンスやAIを駆使して課題解決を行えるエキスパート人材が求められている。さらに、将来的にはDX・AIは専門的なスキルではなく、社会インフラとして位置づけられることも予想される。DX・AIに関する能力がビジネスにおけるリテラシーとなるのも、遠い未来の話ではない。

教育業界のDX推進・AI活用はまだ始まったばかりで、現場の状況や今後の指針にも注目が集まっている。

DX Keyword

そもそも何をすること?
DX[デジタルトランスフォーメーション]

「進化したデジタル技術を活用・浸透させることで、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させていく」という概念。単なるデジタル化ではなく、デジタルによってイノベーションを起こし、人々の生活をより豊かにすることを意味する。

海外留学の新しい形?
COIL 型授業

COILは「国際協働オンライン学習(Collaborative Online International Learning)」の略称。ICTを駆使した海外学生との協働学習は、既存の授業に取り入れやすく、諸々の事情で留学できない学習者をはじめ、多くの学生が受講可能。新たな国際交流の形として期待される。

オンライン授業の多様なあり方!
ハイブリッド型、ブレンデッド型、ハイフレックス型

「ハイブリッド型」は、対面とオンラインを組み合わせて実施する授業の総称である。ハイブリッド型授業の中には、学習の過程に応じて対面とオンラインを使い分ける「ブレンデッド型」や、同じ内容の授業を対面とオンラインで同時に行う「ハイフレックス型」などがある。

eラーニングと何が違う?
LMS[Learning Management System]

オンライン学習を意味する「eラーニング」に対して、「LMS(学習管理システム)」は「eラーニング」の運用を管理するシステムを指す。教材の配信や個人の成績一覧化などさまざまな機能を実装しており、学習者の理解度に合わせた効率的な学習を可能にする。

AI Keyword

過去に2 度のブームがあった?
AI の歴史

推論や探索を可能とした第1次ブーム(1960年代)、大量の知識を与え問題解決を図った第2次ブーム(1980年代)は、いずれも技術的な限界により終焉を迎えた。2000年代以降の第3次ブームではAI自身が知識を獲得・定義する技術が実装され、実用化が進んでいる。

AIを司る技術は何?
「機械学習」→「深層学習」

「機械学習」はAI の中核を成す技術の1つで、膨大なデータを基にコンピューターがルールやパターンを学習する技術を指す。「深層学習」は「機械学習」の一種だが、ルールやパターンの基準を人間が指定することなく機械自身が学習していく点が特徴である。

AIは結局何ができるのか?
特化型AIと汎用型AI

AIには、事前に学習した内容の実行に特化した「特化型AI」と、人間のような判断や行動ができる「汎用型AI」の2種類がある。現在普及しているのはすべて前者だが、学習した範囲内であれば人間を上回る能力を発揮している。

AIはハードスキルの1つ
DX×AI の関係性

並列で語られることの多いDXとAIだが、「目的」と「手段」の関係にあり、DXに必要なハードスキルの1つがAI技術と捉えられる。また、DXには課題発見・解決力やコミュニケーション力などのソフトスキルも不可欠だ。

掲載紙

今回の記事は、東洋経済新報社と株式会社WAVEが制作した「東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1」に掲載されています。

東洋経済ACADEMIC 次代の教育・研究モデル特集 Vol.1未来社会を担うDX・AI その真価を解き明かす

東洋経済ACADEMICシリーズから【DX・AI】に関する書籍が発刊。
Sociaty5.0で示される日本社会の未来を実現するために、社会課題解決に資する人材育成、研究が現在ほど求められている時代はない。今日、ウィズコロナ時代に向けて、DX推進・AI活用は、産業界のみならず、教育界の先進分野として世界の注目を集めている。文部科学省をはじめとする各省庁の動きからも、データサイエンス教育やデジタルとフィジカル融合型の研究手法への支援は力強く展開中である。本誌では、教育・研究の場におけるDX推進・AI活用を実現する多様な事例を紹介し、それらを加速・推進する次世代教育・研究モデルの核心に迫る。