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【長岡技術科学大学】「技術革新 フロンティアコース」が かなえる高専と大学の連携

将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現代の世代の要求も満足させるSDGs。実現に向けて前進するためには「今」に目を向けるだけではなく、「未来世代との連携」の視点を持つことが不可欠だ。 

そして、持続可能な社会を構築するための道は一つではない。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や環境保護、住みやすい街づくりなど、多様な主体がサステイナビリティを意識して独自のアクションを展開している。

連携の強化により生み出す 研究の連続性

SDGsという共通の枠組みを通じて社会の諸問題が認識され始めた今、世界が求めるのはそれを解決に導く先導者だ。新たな産業分野を創出・牽引できる技術者の育成を目指し、長岡技術科学大学は2022年より学部・大学院を改組。入学希望者の素養を生かす新たなシステムづくりに踏み切った。なかでも目玉となるのが「技術革新フロンティアコース」の新設。高等専門学校(高専)との連携を強化し、学生が培った能力を最大限に引き出す狙いだ。

コースの大きな特徴は、通常3年次後半もしくは4年次に配属される研究室に、編入学した3年次の最初から所属できることだ。武田雅敏副学長はその利点についてこう語る。「高専から大学、大学院の修士課程まで合わせると、教育研究に費やせる時間は9年間あります。その9年間を希望する学びと研究へシームレスに充てられる仕組みが実現しました。コース生は編入前に研究室の選択が可能なため、高専での研究を継続して追究することや、他の分野に展開することができます。研究の連続性や発展性を強化したことで、高いポテンシャルを持った学生が能力をこれまで以上に伸ばせると考えます」

融合分野に手を伸ばして

複雑に絡み合った社会課題を解決するために、知識の習得に加えて求められるのが他分野への挑戦だ。

未踏の分野へと見識を広げるために、コースには2つの仕掛けが用意されている。1つ目は履修可能な授業の広域化。すでに十分な知識を獲得したコース生が、専門外の領域にも手を伸ばして広く学ぶことが可能になる。2つ目は必修科目「SDGs探究演習」。多様な分野の学生が集うコースの特徴を生かし、授業ではおのおのの専門知識を組み合わせて1つの社会課題の解決策を導く。専門外の分野に触れ、吸収した知識は専門分野と融合し、新たな研究領域を切り拓く能力を生み出していく。

全学で取り組む STEAM人材の育成

2022年の改組を機に、新たな科目群の導入によって全学的にも工学をSDGsの達成につなげるための学びを強化した。

武田副学長は、SDG9を牽引する大学としての責務を語る。「社会の抱える問題に対応するのは技術者の責任。おのおのがそれを自覚できるようなカリキュラムを提供します」 

革新を担う技術者の輩出に向けて、俯瞰的視野とマネジメント力を兼備えた「STEAM人材」の育成を目指す。

<Profile>

武田 雅敏 

長岡技術科学大学 副学長

長岡工業高等専門学校卒業。東京大学大学院博士課程修了後、長岡技術科学大学工学部に助手として着任。講師、准教授を経て2013年より教授。2021年から現職。

掲載紙

今回のインタビューは、東洋経済新報社と株式会社WAVEが制作した「東洋経済ACADEMIC SDGsに取り組む大学特集 Vol.4」に掲載されています。

東洋経済ACADEMIC SDGsに取り組む大学特集 Vol.4「行動の10年」の新たなステージへ 持続可能な社会実現に向け加速する「連帯・連携」

2015年に国連で掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsをめぐる大学の活動は、啓発、実践を経て「行動の10年」を見据えたさらなる加速と深化が求められている。それらを具現化すべく、国際社会や地域社会における「連帯・連携」もパワフルに展開中であり、各界の注目は高まる一方である。本誌は、シリーズ第4弾として、国連、政府、産業等、バラエティ豊かな各大学の連携状況を克明にレポート。SDGsによる大学教育革新の中核に迫る。

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