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小さな一歩を踏み出そう! ロハスフェスタでおしゃれにSDGsを実践

大阪の万博記念公園や、東京の光が丘公園で開催される、「ロハスフェスタ」をご存じですか?「LOHAS」とは、「Lifestyles of Health and Sustainability」の略語で、健康や持続可能な社会、地球環境などを大切に考え、心豊かに暮らす生活スタイルのこと。ロハスフェスタは「みんなの小さなエコを大きなコエに」をテーマとしており、多くの人々がブースを出展し、端材を使った手作り雑貨や健康的な食材から作られたフードなどを販売しています。今回は、思わずエコな取り組みを実践したくなる、ロハスフェスタの魅力についてご紹介します。

会場で実践!エコに取り組むロハスフェスタの工夫とは?

2022年秋に万博公園で行われたロハスフェスタに参加した筆者。会場のさまざまな箇所で、SDGsへの取り組みを見つけることができました。例えば、屋外フェスやイベントでは付き物の使い捨て食器が、ロハスフェスタでは使われていません。会場ではハンバーガーやスイーツ、ビールなど、キッチンカーがさまざまなフード・ドリンクを販売していますが、それらは家から持参した“マイ食器”に提供してもらうのがルール!もし持ってくるのを忘れてしまったという人は、リユース食器(皿・カップ・箸)を購入すればOKです。リユース食器は使い捨てではなく、ロハスフェスタが終わった後も家に持って帰って使い続けることが推奨されていました。これにより、「ごみがほとんど出ない」イベントを目指しています。イベントで出てしまうごみの量を減らせ、来場者の意識も高めることができる取り組みだと感じました。

リユースカップのデザインもかわいい
芝生でピクニック気分を味わうファミリーが多かった印象です

また、会場内のエコリサイクルコーナーでは、牛乳パックや古本などの資源を回収しています。中でも使用済み・消費期限切れの天ぷら油は、回収した後バイオディーゼル燃料としてロハスフェスタで使用する電気の発電に利用しているそう。他にも、クイズラリーやワークショップなどで子どもがSDGsについて楽しく学べる機会を設けているなど、来場者が自分ごととして参加できる取り組みがたくさんありました。中でも筆者がおもしろいと感じたのは、ブース出展者が個人または企業で実施しているSDGsへの取り組みを「わたしのSDGs」としてパネルで公表していたこと。たくさんの人々が普段からSDGsに取り組んでいることが目に見える形で実感でき、SDGsをより身近に感じられました。

各ブースの前に、「わたしのSDGs」のパネルが置かれていました

その他の取り組みや詳しい内容については、こちらをご覧ください。

雨水を飲料水に 福井工業大学のエコな技術

筆者が訪れた2022年秋のロハスフェスタでは、マイ食器やリユース食器を洗えるシンクが設置されていました。そこで使われていた水は、水道水ではなく“疑似雨水”。実は、雨水は蒸留水に近いきれいな水なので、皿洗いなどさまざまな用途に使用できるのです。ブース出展をされていた福井工業大学の笠井利浩教授によると、雨水は水資源として大きな可能性を秘めているとのこと。どのような活用方法が期待されているのか、笠井先生に伺いました。

雨を集めて製造した、国内初の「あまみずドリンク」

2022年秋のロハスフェスタに、初めてブース出展をしました。きっかけは、娘のすすめで参加した2022年春のロハスフェスタ。私の研究している雨水の活用をPRするのにぴったりだと感じ、すぐに実行委員会にブース出展について相談しました。
ブースでは、雨水からつくったあまみずサイダーやあまみずソーダを販売しました。はじめは怪訝そうにしていた来場者も、一口飲んでみると「とてもおいしい」とおどろいていました。一般的に「雨水は汚い」というイメージがありますが、実は降り始めの雨を除けばほとんど何も含まない超軟水なのです。洗濯や洗車など、用途によっては水道水より向いている場合もあります。雨を水資源として認識してもらうため、あまみずサイダーなどの製造を通して「あまみず飲料化プロジェクト」を実施しています。
雨水活用を推進するため、福井工業大学の私の研究室では、雨水を効率的にためる技術開発や製品(雨水タンク)づくりに取り組んでいます。雨水は、「流せば洪水、貯めれば資源」。雨水タンクに普段から雨を貯めておくことで、水不足の際や非常時に活用できます。また、近年増加している豪雨災害の際には、空にしておいた雨水タンクに雨水をためることで治水効果が期待できます。このように、雨は水資源としても災害対策としても非常に重要であるため、雨に対する社会の意識を変えることで持続可能な社会の実現に貢献したいと考えています。

防災対応家庭用雨水タンク「RainHarvest」

おしゃれに楽しく、一歩を踏み出せるフェス

「おしゃれな雑貨を目当てに訪れたら、いつのまにかエコを実践していた」というように、ロハスフェスタはSDGsへのハードルを下げ、気軽にエコに取り組めるイベントだと感じました。ロハスフェスタの狙いや今後の展望について、運営を担当する株式会社シティライフNEWの辻本志郎さんは次のように語ります。

ロハスフェスタは、2006年に万博記念公園でスタートしました。開園当初より環境保全をコンセプトとしていた万博記念公園と、地域情報誌等を通じて環境保全を意識した事業展開を続けてきた弊社の想いが合致し、誕生したのがロハスフェスタです。今では東京を含め全国で実施されるまで広がりました。
1日平均2万人もの来場があるロハスフェスタ。多くの来場者に対してSDGsを分かりやすく啓発することが重要であると考え、楽しみながら学んでいただけるように意識して企画・運営しています。来場者からは、「会場全体が、エコが当たり前の空気になっていたことが印象的だった」「リサイクルにおしゃれに取り組んでいるので参加しやすいと思った」「日常的な心掛けが変わった」などのお声をいただいています。
ロハスフェスタを始めた当初、環境保全に関するイベントは産官学が主導するものが多い傾向にありました。その中で、生活者がエコをより身近に感じられるイベントとしたことで、環境保全の取り組みを推進できたのではないかと考えています。大勢の人々が積極的に参画すれば、SDGsのより大きな前進が期待できます。SDGsとものづくり、体験性が密接に絡み合った、魅力あるコンテンツを今後も企画していきます。

リサイクルコーナーには、毎回たくさんの資源が集まります。

ロハスフェスタに参加すれば、自然とエコやSDGsに取り組み、ロハスな暮らしがしたくなるはず。一人ひとりの小さな一歩が、いずれ大きな社会の動きとして世界を変えていくでしょう。
今年は、4月~5月に大阪で、10月には東京と大阪で開催される予定です。皆さんもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?