目標達成期限である2030年まで5年にせまったSDGs。課題解決に向けた取り組みは各国で行われており、日本でも企業や団体、個人などがさまざまな形で行動を起こしています。採択から10年の月日が経った今、SDGsはどれほど理解され、どのように考えられているのでしょうか。
WAVE・SDGs研究室は2024年6月に5回目となる「SDGsに関する意識調査」を実施しました。一般生活者1000人の回答をもとにSDGsの現在地に本記事では、その認知率や関心度、そこから浮かび上がってくる課題について紹介します。
94.7%に達したSDGsの認知度
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SDGsの認知率(「内容を認知している」と「名称を知っている」の合計)は94.7%に達し、2023年4月の第4回調査から3.7ポイント増加、第1回調査と比べると60.2ポイントと大幅に増加しました。第1回~第4回調査の推移を見てみると、毎年増加しており、認知が着実に進んでいることがわかります。職業別では「会社役員・経営者」「公務員」で100%、「中・高校生」で99%と非常に高い認知率で、その他でも著しく低い職業は見られませんでした。
若者で進むSDGsの内容理解
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内容理解について焦点を当てると、第4回調査から第5回調査にかけて全体の内容理解率(「内容も知っている」の割合)は6ポイント増加。職業別で見ると、「中・高校生」で最も高く94.8%、次いで「大学生」が86.5%と続きます。年代別で見ても内容認知の割合が最も多いのは「10代」で91.0%と、将来世代を中心にSDGsの理解が深まっていることがわかります。
40代の関心度が18ポイント増加
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認知の広がり・理解の深まりと同様に、関心度も高まっています。SDGsへの関心ありと回答したのは全体の66.0%で、前回調査と比べて4.6ポイント増加しました。
※関心あり・関心度=「関心がある」と「やや関心がある」の合計 年代別で関心の高さを見ていくと、特に高いのは「10代」で81.3%。そのうち「関心がある」と回答した割合も36.7%と、他の世代と比べて最も高い結果となりました。今回特に注目したいのが「40代」の関心度です。65.4%という数字は昨年から18ポイントと著しく増加しています。すべての年代で関心度は6割を超えており、若者だけでなく幅広い世代に関心が広がっていることがわかります。
関心を持ち行動してもらうために
若者世代を中心に認知率が高まりを見せ、幅広い年代で関心がもたれています。一方で、認知率と関心度には依然として開きがあり、自分事として捉えられていない様子がうかがえます。「SDGsの内容は知っているが、関心は高くない」という課題を改善するために、SDGsゼミリポートではSDGsに関する身近な気づきや実行したアクションをコラム記事として発信中です。一人ひとりがポジティブに取り組める、具体的な活動を紹介していくことで、SDGsに対する関心を高めることに貢献します。
次回は、企業や組織の取り組みや各ゴールに関する調査について取り上げます。
調査概要
SDGsに関する意識調査
調査対象:全国在住の15 歳以上の男女
調査主体: (株)WAVE (WAVE・SDGs研究室)
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査日:2024年6月
有効回答数:1,036サンプル
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