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「自分の取扱説明書」をつくり、自分をケアする

なるほど!

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日記を書くことが好きです。
筆者の日記には「遊んだ日の思い出記録」「気になるトピックスに関する覚え書き」など、さまざまなパターンがありますが、今回は「自分の取扱説明書」パターンの日記についてご紹介します。
「自分の取扱説明書」は、自らの心身を良好に保つために機能すると考えています。

SDGsのゴール3は「すべての人に健康と福祉を」。
このゴールを達成するために実現すべきこととして、「あらゆる人びとが医療機関にアクセスできること」「心身の健康を害さない環境をつくること」などが挙げられるでしょう。

その他、個人でできるレベルの取り組みとして、筆者は「自らの心身の傾向を理解しておくこと」も大切だと考えています。
例えば、「1日に最低8時間寝ないと、体調が悪くなる」「1日3食きちんととるより、5回にわけて少量ずつ食事をとる方が体に合っている」など、自分のコンディションを良好に保つための基準や方法があると思います。
このような、自らの傾向を細かく記したものが、「自分の取扱説明書」です。

自らをケアする方法のひとつとして、よろしければ読者の皆様も参考になさってください。

“緊急時”のお守りはいくつあってもいい

「自分の取扱説明書」とは、自らの思考・行動パターンをまとめたものです。
例えばこちら。

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家にひとりでいるとき、冷蔵庫や遠くの車のクラクションなど、些細な音が気になることがある。
(1)どのように気になるのか
:不審者が近くにいるかもしれないと感じる。
(2)気になってしまう場合の傾向
:A.疲れており神経が過敏になっている。
B.怖い夢を見てしまい、怖い想像ばかりするモードに入ってしまっている。
C.親しい人と口論をした後は、「このまま会えなくなったら嫌だ」と不安になる。その状況で物音がすると、「自宅に不審者が来て襲われてしまい、親しい人と会えなくなる可能性」を考えるようになり、物音が気になり続けてしまう(不安なときは極端な考え方をする傾向がある)。
(3)対処法
 :①一旦戸締り確認をする。
②家に問題がなければ、イヤホンをつけて、耳が痛くならない程度に大きな音で動画を視聴する。小さな音をシャットアウトすると、気持ちが落ち着いてくる。
騒がしく、長めの動画が好ましい。(効果音の激しいゲーム実況や、BGMが大きめのVlog、ずっと流れ続けるリール動画など。ドラマ・映画は静かなタイミングもあるためあまり適していない)
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「自分のことなんだから、書かなくてもわかっている」と過信することなく記述するのがポイント。
自分にどのような傾向があり、どうすれば改善できるか理解していたとしても、弱っているときや頭が混乱しているときは、冷静に対処できなくなる恐れがあります。
例えば、AEDの扱い方を覚えていても、実際に使わなければいけない状況では、頭が真っ白になる方が多いでしょう。
それでも、AEDには音声ガイドや映像がついているから、正しい手順で対応することができます。
自分が問題に直面しているとき、つまり“緊急時”であっても、望ましい状態の自分を取り戻すために役立つのが「自分の取扱説明書」です。

ただ、自分のことを「完璧にわかったつもり」にならないように、あくまで「傾向」として書き留めておくこともポイントです。

例として挙げた「自分の取扱説明書」は、やや硬めの文章でまとめていますが、走り書きのメモでも構いません。イラストを添えてもOK。自分に伝わる文章を、自分にとって書きやすい形で残しておくことが大切です。
(筆者は、自らを他者のようにみなし、事務的に文章を書いた方が楽しいのでそうしています)

「間違うこともある」を前提に考える

「自分の取扱説明書」を意識して書くようになったのは、心理学における「メタ認知」というものを知ったからです。
メタ認知とは、自分の思考や記憶などの認知活動を客観的に把握すること。「自分の認知を認知する」ということです。

何かを聞いたときに聞き間違いをしてしまうことと同じように、記憶や、思考した結果下す判断も、間違っている(客観的に見て不自然な状態になっている)場合があります。
そこで、自分が物事をどのように捉え、思考(そして行動)する傾向があるのかを客観的に捉えるために、「自分の取扱説明書」が機能すると気づきました。

認知活動は、健康増進とは関係がないように見えるかもしれません。
しかし、自らに対する認知が歪んでいれば、自分にとって最適なケア方法を導き出すことが難しくなると思います。
自らの傾向を理解したうえで、自分の心身を守り、よりよい暮らし方ができるように、今後も心掛けるようにしたいです。
みなさまも、ぜひ!