SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

SDGsゼミリポート | サステイナブルな未来を多様な視点で探求する

WAVELTD
トップ > 研究員のSDGsな日々 > フラワーロスをゼロに。「花のある暮らし」で毎日をサステナブルに楽しむ

フラワーロスをゼロに。「花のある暮らし」で毎日をサステナブルに楽しむ

なるほど!

20

3月も後半に差し掛かり、春の陽気を感じる日が少しずつ増えてきました。春の訪れを感じさせるものといえば、色とりどりの花々。そんな春の花の見頃といえば、桜やチューリップの咲き誇る4月を思い浮かべる人も多いと思います。しかし実は、春の「生花」が生花店に流通するのは1月から3月頃まで。今がまさに、春の生花を楽しむ絶好のタイミングなのです。

そんな時節柄もあってか(?)筆者も最近、ふらりと引き寄せられた花屋さんでお花を買っていたり、友人の結婚式でもらったりと、度々生花を手にする機会がありました。せっかくの可愛い花を長く愛でていたい、できる限り長持ちさせる方法は……と調べていたときに、「フラワーロス」という単語が目に留まりました。

日々大量に捨てられている生花、“フラワーロス”の現実

食べ物の廃棄を意味する「フードロス」に比べて、まだまだ認知度の低い「フラワーロス」という言葉。枯れる前のまだ美しく咲ける花が、私たち消費者の手に届く前に廃棄されてしまうことをこのように言うそうです。

フラワーロス問題が特に注目を集める契機となったのが、コロナ禍でした。結婚式や卒業式などのイベント中止が相次いだあの頃、行き場のないまま廃棄される生花が急増していたのです。
ただ、コロナ禍によるイベント中止がなくなった現在でも、大量のフラワーロス問題は変わらず存在しています。原因はさまざまですが、そのひとつが「規格外で廃棄されてしまう」というもの。農作物と同じように花にも規格があります。少し茎が短い・曲がっているというだけでも市場に売りに出すことができないのです。売り場へ届けられることさえなく廃棄されてしまう。規格を満たして店頭に並んでも、売れ残り、鮮度が落ちれば当然ながら捨てられてしまう……。こうして廃棄される花は、生産段階で20~30%、生花店で扱われるうちの30〜40%ほど。数にして約10億本にものぼると言われています。

フラワーロス解決のカギは個人消費。私たちにできること

生花店での発注は箱(ロット)単位で行われるため、小さな店でも必要数より多く仕入れるほかなく、必然的に売れ残りを作ってしまうことも。そんな中で、私たちが「ふらりと花屋に立ち寄って1本買う」という選択肢を増やすだけでも、無駄に捨てられる花を少しでも減らすことができるかもしれません。

市場を通さず、生産者から直接購入できる通販サイトを利用するのも一手。規格外で市場に出回らないお花も私たち消費者の判断で購入できるので、フラワーロス削減に貢献しながら、もしかしたら気に入ったお花を少しお得に購入できるかもしれません。

そして、お花のある暮らしを楽しみ始めた筆者が最近検討しているのが「お花のサブスク」(サブスクリプションサービス)です。生産者や生花店が厳選したお花を定期的に自宅に届けてくれるというもので、1回の配送を1,000円台から利用可能なサービスも。「お花は好きだけど、近所に花屋がない」「頻繁に花屋まで足を運ぶ時間がない」という人でも気軽に始められそうです。
またこうしたサービスでは、生産者側が花の購入量を想定して作りすぎを防ぐことができるので、実はこれもフラワーロス削減には効果的。季節に合わせて生産しやすい花を栽培できる、というのもメリットです。

花のある暮らしを楽しみながらSDGsに貢献しよう

花の生産過程を考えると、水や肥料、農薬、温室の電力や燃料など、多くの資源が使われています。花を無駄に捨てることは、そうした生産時に使用した資源も無駄にしてしまうことに。鮮度第一、見た目が命の生花なので、ロスを完全にゼロにすることは難しいかもしれませんが、私たちが日常に花を取り入れることがその一歩につながると思います。

新学期もスタートし、心機一転、何か新しいことを始めるのにぴったりな春。自分の部屋にお花の彩りをプラスするだけで、フラワーロスも資源の無駄も防いで、SDGsに貢献できる……そんな「SDGsな日々」の一歩として、皆さんも新たにお花のある暮らしを始めてみるのはいかがでしょうか。

<参考>
「ロスフラワー」とSDGsにおける花き業界の取り組み
フラワーロスってなんだろう?解決のために私たちができること
フラワーロスを減らせ 花を廃棄する理由 | NHK | ビジネス特集