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万博開催都市 大阪府が描く未来とは?オール大阪で取り組むSDGsの推進

なるほど!

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2025年10月13日、大阪・関西万博が半年間の会期を終えて閉幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、「EXPO for SDGs」を掲げて取り組んできたことで、SDGsがめざす誰一人取り残さない社会の実現に大いに貢献しました。万博開催都市である大阪府は、今後どのように施策を進めていくのでしょうか。大阪府全体の方針策定などを担う大阪府企画室のSDGs担当者にお話を伺いました。

※本記事は2025年11月に取材したものです。

大阪・関西万博を終え、オール大阪でめざす未来

大阪府企画室の担当者は冒頭で次のように語りました。「我々の部署のミッションは、オール大阪でSDGsの達成に向けて取り組むことです」。今回の万博には2,900万人を超える方々が来場されました。万博という一大プロジェクトを機に、社会課題や地域の課題に対する関心は高まったことと思います。担当者は、「府民のみなさまや市町村など、さまざまなステークホルダーが日常のあらゆる場面でSDGs達成に向けた取組みを進め、取組みへの姿勢を通じて、みんなが SDGsに取り組むことが当たり前のこととして広がっていく。そうした状態を実現することこそが、SDGs先進都市である」とSDGs先進都市に向けた意気込みを語ります。大阪全体が一致団結してSDGsに向き合う姿、それが〈オール大阪〉です。

Osaka SDGs ビジョン(令和2年3月版)
SDGs先進都市をめざして

大阪府のキープロジェクト「私のSDGs宣言プロジェクト」

オール大阪でのSDGs達成に向けて、以前から取り組んでいるのが「私のSDGs宣言プロジェクト」です。府民や府内の企業・団体などがSDGs達成に向けた具体的な行動を宣言し、大阪府がホームページなどで広く紹介しています。その内容は「スーパーへは歩いて行き、商品は陳列棚の手前から取る」、「紙の書類をデータにする」などの身近なアクションから、「あらゆる年代の人にスポーツをする機会と場所を提供する」、「SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決をめざしていく」などの地域・社会へのアプローチまでさまざまです。大切なのは、自ら内容を考え宣言すること。一人ひとりの行動が持続可能な大阪につながると信じています。

本プロジェクトは万博会場内のイベントとしても実施され、1日で1,000人を超える方が参加しました。老若男女を問わず、海外の方も含め、多様な方々がイベントに参加し、自らが取り組むSDGsを考え宣言しました。文字だけでなくイラストで宣言する人もいました。

なお、大阪府が実施する本プロジェクトでは、他の類似するプロジェクトでよく見られるような参加条件を確認する書類の提出は必要ありません。参加のハードルを低くすることで、誰もが気軽に実行に移すことができる仕組みにしています。

私のSDGs宣言プロジェクトについて

宣言件数の推移

みんなの智恵をつなげて、世界を変える

大阪府では、2023年度から毎年SDGsフォーラムを開催しています。「SDGs達成の鍵はパートナーシップ」と担当者は語ります。その言葉どおり、フォーラムでは、行政、企業、NPO等の非営利セクター、ユース世代等、あらゆるステークホルダーが登壇し、先進的な取組み、知見やノウハウを共有するとともに、新たな共創に向けた交流を行います。2025年9月5日には、「みんなの智恵をつなげて、世界を変えよう」をコンセプトに、万博会場内において「OSAKA JAPAN SDGs Forum」として開催。サステナビリティの取組みが高く評価されているグローバル企業による講演、脱炭素社会の実現に向け連携する企業と自治体によるパネルディスカッションなど、盛りだくさんのプログラムを通じ、1,500人を超える参加者に先進的な取組みを発信しました。

大阪府は、多様なステークホルダーが、エリア、業種、世代などの垣根を超え集まることで、新たなアイデアや共創が生まれ、結果としてSDGs達成に近づくことをめざしています。

今後もオール大阪でSDGsを推進する

今後も大阪府は、府民や企業などと連携し、オール大阪でSDGsを推進します。担当者は「SDGsアクションとビジネスの両立が課題」と語ります。SDGsアクションを収益化し、それをビジネスとして成立させることは非常に難しいですが、企業が持つ技術やノウハウを社会課題や地域課題のソリューションとして提供することで、持続可能な企業活動や社会を実現できれば、SDGsの達成に近づきます。

2026年1月16日には、「SDGsとビジネスの価値を考える」をテーマにしたイベントが開催されます。オール大阪の一員として、参加してみてはいかがでしょうか。

[コラム]SDGs×笑い

大阪府が発行する『OSAKA SDGs データブック』は、大阪でSDGsアクションに取り組む人を後押しするため、SDGsに関するデータや企業の取組みをまとめた冊子です。コラム「Osaka“笑”Indicator?―『笑い』がSDGsにつながる?―」には、笑いと幸せ等の相関関係をデータ化し掲載。大阪らしい「笑い」からSDGsを考えることができるユニークな取組みです。大阪府ホームページからダウンロードできます。ぜひご参照ください。