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SDGsを「自分ごと化」する鍵に

やっぱりすごい、スポーツのチカラ。
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なるほど!

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先月、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックが開催されましたね。先週にはWBCが開幕し、普段スポーツとは縁遠い生活を送っている筆者も、連日ニュースや選手の活躍に釘付けになる日々を過ごしています。スポーツ観戦の熱狂が日本中に広がる今日この頃。この機会に、筆者のように普段スポーツに馴染みがない人もそうでない人も、今一度その魅力について一緒に考えてみませんか。

スポーツは社会を変えられる?スポーツが持つ「巻き込み力」

ひとたび試合が開催されると一瞬で人々を夢中にさせ、その場の空気をひとつにする力を持つスポーツ。スポーツ観戦の場で、近くにいた見知らぬ人と一緒に盛り上がる……なんてエピソードもよく耳にしますよね。
今回の冬季オリンピック期間中も、選手の国籍や人種に関係なく、現地で観戦するすべての人が選手一人ひとりのパフォーマンスに熱狂し、応援していたことが印象的でした。筆者はとりわけ、フィギュアスケートの“りくりゅうペア”のフリーの演技が終わった後、現地の観客が総立ちでスタンディングオベーションを送っていた光景が強く脳裏に焼き付いています。

そんな圧倒的な「巻き込み力」を持つからこそ、実は今、スポーツは世界中のさまざまな社会課題を解決する原動力になると期待されています。その力は国連や日本政府も認めているもの。スポーツ庁では、スポーツを通じてSDGsの課題達成を目指す「スポーツSDGs」という取り組みを推し進めているようです。(参考:スポーツSDGs:スポーツ庁

「スポーツを通じたSDGsの課題達成」、突然そう聞いてもあまりピンと来ないかもしれません。SDGsとスポーツが関連する例を考えてみると、たとえば以下のようなものがあります。

目標3:すべての人に健康と福祉を × 観戦がもたらす心の活力

スポーツと健康と聞くと「身体を動かすこと」を想起する人が多いと思います。もちろん身体の健康もスポーツがもたらす大きな効果ですが、「観る」ことも、心の健康にはかなり効果的。家族や友人と一緒に声を上げて応援することで日常のストレスを吹き飛ばしたり、選手たちが限界に挑む姿を見て感動し「自分も頑張ろう」と明日を生きる活力にしたり……。スポーツを通じた感情の共有は、意識せずとも私たちのメンタルヘルスとウェルビーイングを支えてくれています。

目標5:ジェンダー平等を実現しよう × オリンピックの男女混合種目と女子種目の広がり

先日のミラノ・コルティナ五輪でも、複数の競技で「男女混合種目」が実施され、男女が同じチームで協力し合いメダルを目指す姿が世界中に配信されました。また今大会では、これまで男子のみだったスキージャンプ・ラージヒル(LH)に初めて女子種目が採用されるなど、オリンピックのほぼ全競技で女子種目が実施されています。注目度が高いスポーツの舞台だからこそ、性別に関係なく平等にリスペクトし合う姿が発信されることで、社会全体のジェンダー平等や多様性への議論が前進していくきっかけになるかもしれません。

目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに × 脱炭素スタジアム

プロスポーツの試合や大規模な国際大会では、夜間の照明や巨大な電光掲示板、空調などで膨大な電力が消費されます。そこで近年、スポーツ界で急速に進んでいるのが「脱炭素スタジアム」への進化です。たとえば、スタジアムの屋根一面に太陽光パネルを設置したり、試合で使う電力をすべて再生可能エネルギーでまかなったりする施設が国内外で増えています。さらには、リサイクルペットボトルを使用したドリンクをスタジアム内で販売するプロ球団も。地域のシンボルでもあるスタジアムやスポーツ団体が率先して環境に配慮することで、社会全体へエコの意識を広げる大きな役割を担っています。

目標12:つくる責任 つかう責任 ×プロスポーツ選手の「ゴミ拾い」から広がる活動

現在メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手。彼が球場でゴミをさりげなく拾う姿は、時折ニュースでも話題となりました。そうした姿勢にとある日本企業が共感し、共同プロジェクトをスタート。大谷選手の母校の生徒約800人が参加し、学校から最寄り駅周辺の清掃を行うという大規模なボランティア活動が実施されました。一人の選手の謙虚な行動が、若い世代や企業、地域社会を大きく動かし、今や大きな社会貢献の輪へと発展しています。

目標16:平和と公正をすべての人に × 復興の希望となるスポーツの力

スポーツは、時に社会の分断を乗り越え、傷ついた人々を勇気づける強力なツールになります。日本においても、東日本大震災や近年の大規模な自然災害の際、スポーツを通じたさまざまな活動が行われました。プロスポーツ選手が被災地を訪問し、日常とはかけ離れた避難生活を強いられる子どもたちとキャッチボールをしたり、避難所にスポーツ用品を届けたり。スポーツイベントは単なる娯楽ではなく、「誰もが参加でき、感情を共有できる空間」として、バラバラになってしまったコミュニティを再び一つにする交流の場として機能することもあります。

スポーツの熱狂を、未来へのエネルギーに

いかがでしょうか。スポーツに対する視点を変えるだけで、普段意識していなくても、意外と身近にSDGsがあると感じられたのではないかと思います。

スポーツがもたらすのは、一過性の熱狂や勝敗の結果だけではありません。あらゆる世代の人にとって身近であり、人々の生活に彩りや豊かさをもたらしてくれるスポーツだからこそ、その影響力は計り知れないもの。オリンピックやWBCの熱狂冷めやらぬ今、スポーツの魅力も存分に享受しつつ、私たちが暮らす未来の社会についても少しだけ「自分ごと化」して考えてみてはいかがでしょうか。

<参考>
https://ondankataisaku.env.go.jp/re-start/interview/35/
https://www.itoen.co.jp/news/article/75931/