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シリーズ第3回は、「日本とウクライナの関係」の側面からウクライナについて紹介する。

#03 日本とウクライナ、交流の歴史

二国間関係の歴史の始まり:ソ連からの独立前

ウクライナがソ連から独立する前、現在のウクライナのオデーサ市にあたる場所には日本領事館が置かれていた。

また20世紀初頭、ロシア極東に移民したウクライナ人(「緑ウクライナ」と呼ばれていた)と、同時期に満州に移民としてやってきた日本人には交流があったとされる。

第二次世界大戦後の1965年にはオデーサ市と横浜市、1971年にはキーウ市と京都市が姉妹都市となるなど、交流が盛んになっていった。

正式な国交の樹立:ソ連から独立後

日本とウクライナが国家として正式に関係を持ったのは、ウクライナがソ連から独立した1991年である。1991年12月28日に日本国政府はウクライナを国家として承認し、続く1992年1月26日、二国間外交関係が開設された。

交流の窓口となる在ウクライナ日本大使館は1993年1月20日、在日ウクライナ大使館は1994年4月に登録され、在日ウクライナ大使館の開館式は1995年3月23日に行われ運営を開始した。開館式には当時のウクライナ外務大臣、ウドヴェンコウクライナ氏が出席した。

(外交関係が開設された1992年からウクライナ大使館が開設されるまでの間は在ロシア日本大使館がウクライナを兼轄していた)

開館式以降、1995年3月22日のクチマ大統領公式訪日を始めとして両国間の協力関係・交流はさらに深まっていくこととなる。

以降は各分野におけるウクライナと日本との交流の歴史について紹介する。

各分野における交流の歴史

政治分野

1995年3月22日~25日:クチマ大統領公式訪日
訪問の成果

  • 両国間の協力関係の政治的基盤の強化
  • ウクライナ大統領および村山総理大臣による東京での首脳会談を経た1995年3月23日に、新たなレベルにおける両国関係の基礎となる共同声明への署名

2005年7月19日~24日:ユシチェンコ大統領公式訪日
訪問の成果

  • 21世紀における新たなパートナーシップに関する共同声明への署名

2011年1月18日〜21日:ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領訪日
訪問の成果

  • 幅広い二国間、国際問題に関して主な方向性、体系、メカニズムを形付ける、ウクライナ、日本のグローバル・パートナーシップについて、ウクライナ大統領および日本国首相の共同宣言への調印
  • ウクライナ国家輸出入銀行と日本銀行の、商品やサービスの輸出促進やウクライナ経済発展に向けた80億円(100万米ドル)にのぼる国際協力融資の借款契約への調印

2016年4月5日~7日:安倍晋三首相の招待によるポロシェンコ・ウクライナ大統領訪日

2019年10月21日:ヴォロディーミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領と安倍晋三内閣総理大臣による首脳会談

科学技術

日本とウクライナの間では、1973年の「科学技術協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の協定」が承継され今も続いている。また、科学技術分野ではウクライナ科学技術センター(STCU)、国際チェルノブイリセンター(ICC)等との協力が進められてきた。

また、2005年7月に署名された「日本国とウクライナとの間の21世紀における新たなパートナーシップに関する共同声明」において科学技術分野における二国間協力の意向が確認され、同時に発出した「科学技術協力に関する日・ウクライナ共同記者発表」において、日・ウクライナ科学技術協力委員会を開催することを表明した。

ウクライナ科学技術協力委員会会合(第1回~第3回、2006年~2013年)2006年2月15日にキエフにおいて第1回目が行われた会合。日本とウクライナ両国の科学技術政策に関する意見交換や、両国間の科学技術協力の現状と今後の方向性等について議論等が行われた。

日・ウクライナ原発事故後協力合同委員会(第1回~第3回、2012年~2015年)この会合では、チェルノブイリ原子力発電所事故の経験を有するウクライナとの間で、福島第一原子力発電所事故後の諸対応の現状と今後の方向性等について議論を行った。

文化交流

文化交流は大使館を始め、横浜市とオデーサ市、京都市とキーウ市の間などを中心に行われている。 2017年は日本とウクライナとの外交関係樹立25周年に当たり、ウクライナでは同年を「ウクライナにおける日本年」と位置づけ、ウクライナ各地で様々な日本文化行事が開催された。

2018年は「東京におけるウクライナ・ウィーク」、2019年は「日本におけるウクライナ文化月間」が開催され、クラシック音楽コンサートを始め、伝統的な民族衣装の展示会やファッション・ショー、ペトリキウカ塗の体験教室、ウクライナの近代的なアーティストの作品の展示会などが行われた。

オデーサ市:国立歌劇場
横浜市:町並みとみなとみらい

その他の交流に関するデータ

  • 経済関係
    (1)日本の対ウクライナ貿易(2020年:財務省貿易統計)
     (ア)輸出 541.8億円
     (イ)輸入 568.8億円
    (2)主要品目(2020年:ウクライナ国家統計局)
     (ア)輸出:自動車、機械・装置類、光学機器、医薬品、電気電子機器
     (イ)輸入:鉱石、タバコ、アルミニウム、水産物、化学製品、木材加工品
    (3)進出企業(2021年8月) 38社
    (4)日本からの直接投資(2021年6月末時点の累計:ウクライナ国立銀行) 1億8,740万米ドル

  • 在留邦人数 251名(2021年12月時点)

  • 在日当該国人数 1,865名(2020年12月:法務省)

  • 二国間条約・取極
    1995年3月
    日ソ間で結んだ条約の承継を確認

    2004年6月
    技術協力・無償資金協力協定

    2008年3月
    京都議定書の下での共同実施(JI)及びグリーン投資スキーム(GIS)における協力に関する覚書

    2012年5月
    原子力発電所における事故へのその後の対応を推進するための協力に関する日本国政府とウクライナ政府との間の協定

    2015年11月
    投資協定発効

    2016年4月
    青年・スポーツ分野における協力に関する覚書

    2018年10月
    防衛協力・交流覚書

    2021年10月
    宇宙分野における協力に関する覚書