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医療×DXで健やかな生き方を実現!! デジタルヘルスの真価に迫る

なるほど!

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リアルとデジタルが融合するSociety5.0の時代に生きる私たち。急速にDXが進む昨今、注目されているのが「デジタルヘルス」です。デジタル技術を使った健康維持・増進、疾病予防・治療のことであり、医療格差や健康格差などの解消に役立つと言われています。本記事ではデジタルヘルスの市場規模拡大の背景や、予防・診断・治療における役割などを紹介します。

市場規模拡大の背景には、社会課題解決を望む声が

デジタルヘルスの語源は「Digital Healthcare」であり、元来、IT機器や情報技術を用いた健康維持・増進のための行為、健康管理を指していました。現在はデジタル技術を使った疾病予防、治療など範囲を拡大しています。

市場規模は2025年には世界全体で約4800億米ドルにも上る見込みです(出典|株式会社グローバルインフォメーション プレスリリース)。海外には医療・健康格差などの社会課題を抱える国々が存在しており、距離の制約を受けにくくコストも抑えやすいデジタルヘルスが課題解決の糸口となると考えられています。また、個人負担の医療費が他国と比べて高いために、導入が進んだ国もあります。医療制度上の問題で、個人が自由に受診先を決められない国でも活用されています。デジタル技術の発展も相まって、今後世界各国でさらに普及していくでしょう。

一方、日本は国民皆保険であり、自由に医療機関を選べる制度(フリーアクセス制)が整っていることから、デジタルヘルスの普及はあまり進んでいませんでした。しかし、近年になり、市場規模は拡大の傾向にあります。国を挙げて、デジタル技術を取り入れた医療の促進に力を入れているからです。その背景には、社会保障費の増大などの社会課題があります。増え続ける社会保障費を抑える方法の一つに医療コストの削減があり、効率的にデジタルヘルスを活用しようという動きがあるのです。

また、海外と比較すると目立たないように見えるものの、日本にも医療・健康格差などの問題は存在しています。都市部から離れた地域、過疎地域における医師・医療機関不足は、長らく日本が抱えてきた社会課題の一つです。所得格差は健康格差に関連があるというデータもあり、低所得層の健康意識の低さが浮彫になっています(出典|厚生労働省平成30年「国民健康・栄養調査」の結果)。これらの課題解決にも、デジタルヘルスが役立つでしょう。

身近なデバイスを活用し、体調管理から疾病予防まで

身近なデジタルヘルスの例で思い浮かべるのは、万歩計やスマートフォンの体重管理アプリなどでしょう。また、心拍数や血圧の変化を感知し、日々の体調記録だけでなく異常を感知してくれる、腕時計型や腕輪型のデバイスも普及してきました。日々のコンディションを整えやすくなったり、体調の変化に気付きやすくなったりと、健康維持に役立つアイテムです。いずれ、医療機関がネットワークを通じて個人のバイタルデータを収集し、適切なタイミングで健康指導を行うのが一般的になるかもしれません。


身近なデバイスを使って生活習慣を定期的に見直すきっかけに

医療機関・患者ともにメリットのあるオンライン診療

日本では診療報酬額の低さから導入する医療機関が少なかったオンライン診療ですが、コロナ禍を機に徐々に浸透するようになりました。現在は診療報酬額の見直しも行われ、今後普及拡大が期待されています。

診療における患者のメリットはさまざまです。少ない通院回数ですむため、体調面や経済面の負担が軽減されます。遠隔地の医療機関も選択肢に入れることができ、通院先や治療法を選ぶ自由度も高くなります。加えて、感染症に罹患するリスクの低減にもつながります。疾病によっては適さない場合もありますが、対面診療と上手に組み合わせることで、効率的な治療が可能になるでしょう。

また、医療機関にとっても、患者の普段の様子を知ることができる、外来診療の負担軽減により人材不足をカバーできるなどのメリットが考えられます。


通院せずとも診療から薬の処方まで可能なオンライン診療

アプリが治療の領域へ。今後発展が期待されるDTx

DTx(デジタルセラピューティクス)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは科学的根拠に基づいた臨床的検証などを踏まえて、医師の管理下で処方される治療支援プログラムを指します。スマートフォンやタブレットなどにインストールして使用しますが、歩数計則や体重計測のアプリなどとは違い、エビデンスや薬事申請の必要な「SaMD(医療機器プログラム)」の一種です。患者個人の医療費負担の大きいアメリカでは2010年代から先んじて導入されています。仮に、経済的・距離的制約から頻繁に通院できない場合でも、次回受診時まで継続した治療を受けることができます。また、他の疾病治療に比べて開発費や医療費が抑えられる場合もあることから、医療上の多様なニーズにも応えていけるでしょう。

海外では、糖尿病、高血圧、呼吸器疾患、筋骨格疾患、ADHD、自閉症、不眠症、薬物依存症など広範囲の治療に適用されています。日本でも2023年2月までにニコチン依存症治療、高血圧治療、不眠障害用のアプリがリリース。今後さらなる発展が見込まれます。 

ビッグデータの活用でさらなる医療の発展、健康増進を  

デジタルヘルスと共に注目されているのが、医療ビッグデータです。電子カルテの情報や医療ゲノムデータ、画像診断データ、患者個人のデバイスから収集したバイタルデータなど、その種類はさまざまです。医療機関が有するこれらのデータは研究機関で活用され、そこから得られた成果が再び医療現場に還元されています。また、大手保険会社が自社の被保険者データを、他機関との共同研究に生かしている例もあります。

海外では、製薬会社が被験者の匿名性を保持した上で自社の臨床試験データを開示し、研究の活性化や医療現場・患者が治療薬を選ぶ判断材料として提供するなど、フレキシブルな対応も見られます。

近年は日本でも、自分の健康・医療・介護に関するデータを集約したPHR(Personal Health Record)を活用できる仕組みが整備されてきています。バイタルデータ、病院の診療・治療履歴、健康診断結果などさまざまな情報を一元管理できるPHRは、今後さらなる健康維持・増進、効果的・効率的な治療に役立てられるでしょう。


アクセス可能なデータが増えて便利になる一方、情報の取り扱いは慎重に
 

デジタルヘルスをはじめとする医療のデジタル技術が発達していけば、誰もが今よりも自分に合った治療や健康管理の方法を選べるようになるはず。それは、自分らしい生き方にもつながるのかもしれません。

<参考>