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知っていますか?クジラ食にまつわる今のこと。

「クジラを食べるとSDGs」?
知っていますか?クジラ食にまつわる今のこと。

なるほど!

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皆さんはクジラを食べたことがありますか?
昔はクジラのベーコンや竜田揚げが食卓に上っていたと聞くけれど、最近日常生活の中で食べる機会はほとんどないし、「食べたいな」と思い出すこともあまりない。そもそもクジラの捕獲って国際的に禁止されていたような気がするけど、食べていいの?
そんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。
筆者もそうでした。しかし、調べてみて驚き。日本のクジラ食は今、まったく違う現実に直面していたのです。

食卓から姿を消したクジラ食

まだ暑さが残る10月の3連休に、友人と一緒に山口県を訪れたときのことでした。筆者にとって、旅の大きな楽しみは何といっても「食」。山口の代表的な料理と言えばフグのイメージがあり事前にリサーチしていたのですが、実際に現地に行ってみると、クジラ料理を提供しているお店が多くありました。

実は、山口県は古くから捕鯨文化が盛んな地域だったそうです。昔からの地域の名産品だと知り、せっかくなら、と友人と一緒にクジラ肉の料理を食べてみることに。「クジラは数が減っており、商業捕鯨は今も禁止されているのでは」と捕鯨に対して理解不足だった筆者は、クジラ料理がそのように大々的に押し出されていることに内心疑問を感じながらのトライアルでした。

旅行後に気になって調べてみて、その認識は誤りだったと分かりました。
クジラの個体数減少に伴う資源保護の流れや反捕鯨論の高まりを受け、日本が商業捕鯨を中断したのは1982年のこと。しかし、2019年にはIWC(国際捕鯨委員会)を脱退し、商業捕鯨を再開しています。

ところが、商業捕鯨を再開したことでクジラの消費量が増えたかというと、そうではありませんでした。水産庁の報告によると、現在のクジラの国内消費量は年間約2000トン。年間20万トン以上を記録していた1960年代に比べると、1%以下に留まっています。かつて日本において馴染みのあったクジラ食は、商業捕鯨が再開されて5年たった今もなお、その存在感が薄れたままとなっているのが現状のようです。

「クジラを食べるとSDGs」なワケ

では、商業捕鯨を再開したことでクジラの個体数減少に影響はないのでしょうか?

それも調べてみて驚いた事実のひとつ。実は、 乱獲の対象となっていた1950年代頃には絶滅の危機に瀕したクジラも、1960年代から全世界的に商業捕鯨禁止などの取り組みが進み、漁獲量が管理されている現在はむしろその数を増やし続けているのです。

クジラの数が増えたことによる悪影響も。クジラは大食漢で知られており、日本鯨類研究所によると、世界の年間漁獲量の3~5倍にも及ぶ大量の魚を食べると推定されています。その食料の中には、近年不漁に見舞われているサンマやサケなども含まれています。海の生態系のバランスを保ち、豊かな海を保つために、適度にクジラを食べることはむしろ大切なのかもしれません。

今、筆者の周りで考えてみても、クジラ料理が家族や友人との会話の話題に上ることはめったにないし、「クジラ食がなくても困らない」と言われると否定はできないかもしれません。

しかし何より知ってほしいのは、「クジラ料理はおいしい!」ということ。
筆者が今回の山口旅行の際に食べたクジラの刺身や竜田揚げは、とてもおいしかったです。小学校の頃に給食に出てきた記憶の中の竜田揚げは、カチカチに揚げられていておいしいイメージを抱いていなかったのですが、昔より保存や調理の技術も向上しており、調理方法の幅も広がっていると感じました。

「おいしいからクジラを食べる(しかも栄養価まで豊富!)」、そして「クジラを食べることが海の生態系を守ることにもつながるかもしれない」。そんなポジティブな理由で、古くからクジラと共に生きてきた日本の文化として、クジラ食が未来に継承されていってほしいと願っています。

<参考>

鯨肉生産量等の推移 – 水産庁
鯨類の持続的な利用の確保の在り方に関する検討会 – 水産庁
鯨類の食物消費量について – 一般財団法人 日本鯨類研究所
JARPN IIの成果- 一般財団法人 日本鯨類研究所