2025年4月に開幕した大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを掲げており、参画する企業や団体、教育機関は、SDGsと直結するさまざまなプロジェクトを展開しています。それらの団体の活動について、認知はどの程度広がっているのでしょうか。
WAVE・SDGs研究室は2024年6月に5回目となる「SDGsに関する意識調査」をオンライン上で実施しました。一般生活者1000人の回答をもとに、SDGsへの取り組みに関する認知や注目されているゴールについて紹介します。
教育機関の活動はまだ認知を得られていない
調査ではSDGsについての概要をSDGs非認知層に向けて説明したのち、企業、NPO・NGO、自治体、大学、小・中・高等学校の5つの組織が、SDGs活動を行っていることを知っているかどうかについて質問しました。

企業やNPOなどさまざまな組織や団体のうち、SDGs活動を行っていることを最も知られている(【知っている】と【何となく知っている】の合計値が高い)のは「企業」(60.1%)でした。第1回調査からは31.7ポイント上昇しています。
一方で、小・中・高では第4回調査から2.6ポイント減少。企業や自治体と比較すると、大学を含め教育機関全体で、SDGsに関する活動の認知度の拡大に苦戦しています。

教育機関の情報発信は、企業・自治体に比べて不足している可能性があります。次世代の行動に大きく影響を与える教育での取り組みも、持続可能な社会を実現する上で重要な要素です。SDGsゼミリポートでは「取り組み紹介」というカテゴリーで、教育機関の事例を発信しています。今後も有意義な内容を発信し、課題解決に貢献します。
今、重要視されているSDGsのゴールとは
個別のゴールについても調査しました。特に重要だと思うゴールをたずねたところ、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」(47.8%)という回答が最も多くなりました。重要だと思う理由について質問したところ、「深刻な課題だと感じているから」(38.2%)、「内容が身近で自分でも貢献できると思うから」(37.5%)といった回答が上位に挙がりました。トレンドワードとして「ウェルビーイング」が挙がるように、人々の意識は心身の健康を大切にする方向に向いているようです。

また、SDGsに取り組む組織・団体が今後推進すべきゴールについて、回答が多かったゴールを上位5つずつピックアップしました。企業に対しては、ゴール8といった経済面での発展に関するゴールや、ゴール7や12といった社会的責任に関するものが挙がりました。大学および小・中・高等学校に対しては、質の高い教育の幅広い提供やジェンダー平等への貢献に期待する声が上位を占めました。自治体に対しては、今重要視されているゴール3への取り組みが期待されています。

※特に重要だと思う目標を7つまで回答
注目を集めるゴールに関連する記事を多数発信中
自治体の活動を中心に、17の目標のうちゴール3「すべての人に健康と福祉を」が注目されています。SDGsゼミリポートでも、関連する記事を数多く発信中です。ぜひご一読ください。
次回は、WAVEが独自に設定した18番目のゴールに関する調査結果を紹介します。
調査概要
SDGsに関する意識調査
調査対象:全国在住の15 歳以上の男女
調査主体: (株)WAVE (WAVE・SDGs研究室)
調査方法:インターネットによるアンケート調査
調査日:2024年6月
有効回答数:1,036サンプル
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