UNEP(国連開発計画)HPに新型コロナウイルスとSDGsに関する特設サイトがオープンしています。 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、私たちの生活が大きく変化する中で、とりわけ「医療」そして「教育」は大きな転換点に立たされています。変化した世界に柔軟に対応し、より良い世界を目指すためにも、SDGsへの積極的な取り組みは一層重要になるのではないでしょうか。
WAVE・SDGs研究室は2020年4月に東洋経済新報社と共同で、一般の生活者を対象とする「SDGs意識調査」をオンライン上で実施しました。SDGsへの自分自身の取り組みについて、生活者はどのような意識を持っているのでしょうか。 【前回の調査コラムはこちら】
※本記事に掲載している内容は調査結果の抜粋です。調査結果全体はWAVE・SDGs研究室までお問い合わせください。
目次
1.貧困や格差を無くす取り組みを重要視
SDGsの17のゴールのうち、特に重要だと思う目標はどれかたずねたところ、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」、ゴール1「貧困をなくそう」、ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」が上位にあがりました。
生活者は貧困や経済格差の是正など、「社会貢献」という言葉からイメージしやすいゴールを重視する傾向にあります。一方で、ゴール9「産業と技術革新の基盤を作ろう」やゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」のような、生活者にとってイメージがしづらい(身近に感じない)ゴールは下位にランクインしています。
2.取り組んでいきたいのはゴール12「つくる責任 つかう責任」が最多
生活者に対して、これから取り組んでいきたいゴールはどれかたずねたところ、ゴール12「つくる責任 つかう責任」という回答が最も多い結果となりました。
ゴール12のターゲットに注目すると、フードロスの削減やリデュース・リユース・リサイクル(3R)など、生活者にとって馴染みのある言葉が並んでいます。身近なことから取り組みをひろげたいと考えている生活者が多いと考えられます。
ゴール12のターゲット(抜粋・要約)
- 持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)をすべての国で実施する
- 世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減。収穫後損失などの食料の損失を減少させる
- 化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を削減する
- リデュース・リユース・リサイクル(3R)によって廃棄物の発生を削減する
- 持続可能な開発や自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする
3.半数の生活者が「具体的なSDGsへの取り組み方が分からない」と回答
SDGsに取り組む上で感じるハードルについて質問したところ、「何に取り組んだらよいのかわからない」という回答が約半数と非常に多い結果となりました。
SDGs意識調査レビュー①ではSDGsの認知率が34.5%と3分の1を超えており、SDGsというフレームワークが世間に徐々に浸透していることがわかりました。次の段階として生活者は具体的に「何に」「どう取り組めるのか」を模索しているようです。
しかしながら、個人の具体的な取り組みに関する情報はまだまだ十分とは言えません。SDGs活動に積極的な生活者や自治体・企業などの組織による情報発信に期待したいと思います。
4.取り組みに課題が残るSDGsと「行動の10年」に向けて
SDGsは世界中に広がっていますが、残念ながら目標達成には程遠いようです。国連は2020年から30年までの期間を「行動の10年(Decade of Action)」と定め、活動の規模拡大に取り組んでいます。
SDGsの達成には、国連や企業などの大組織の行動だけでなく、生活者一人ひとりの行動が欠かせません。リサイクルなど直接SDGsに関連する活動や、SDGs活動に積極的な企業へ投資を行って間接的に貢献するなど、さまざまな取り組み方があります。「SDGsゼミ」(当サイト)をはじめとしたメディアを活用して具体的な取り組み方を学びつつ、より良い世界の実現に向けて行動していきましょう!
【SDGsゼミに掲載している具体的な取り組み例】
・意識と行動が地球環境を救う ―消費社会を生きる私たちが今日からできること
・【SDGs意識調査レビュー②】「企業などのSDGs活動に生活者はどう関わるか」―活動支援を通して、生活者も間接的な貢献を
SDGsに関する意識調査
- 調査対象:全国在住の15 歳以上の男女
- 調査主体:(株)東洋経済新報社、(株)WAVE (WAVE・SDGs研究室)
- 調査方法:インターネットによるアンケート調査
- 調査日:2020年4月
- 有効回答数:1,036サンプル
- 当調査結果のデータ、図表、本文等の著作権は株式会社 東洋経済新報社および株式会社WAVEに帰属します。当社の許諾を得ることなくこれらの全部または一部を複製、転載、翻案、配布、印刷、翻訳など、第三者の利用に供することを禁止します。
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