大学生が就職先企業を選ぶ際、「社会貢献度の高さ」を重視する傾向があるなど、Z世代と呼ばれる若者たちの社会貢献への関心は高まりを見せている。就職人気No.1企業※1に、企業におけるSDGs推進への思いを語ってもらった。
事業活動での使用電力を100%再生可能エネルギーに
ソニーグループは環境計画「Road to Zero」を策定し、気候変動は2040年、資源・化学物質・生物多様性は2050年までに「環境負荷ゼロ」の実現を目指している。前記の4つの視点から、事業活動と製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷削減のゴールを設定。5年ごとに中期目標を立て、着実な取り組みを進めている。その一環で加盟したのが、100%再生可能エネルギーでの操業を目指す国際的イニシアチブ「RE100」だ。ソニーグループの再生可能エネルギー推進を担当する大野氏はこう語る。
「ヨーロッパや中国の事業所ではすでに再エネ電力利用比率100%を達成しており、半導体事業による電力消費量が多い日本での対応が引き続き課題です。そこで、太陽光発電設備の導入や、電力会社からの再エネ電力の直接購入など多様な調達手法を駆使。社内外に設置した太陽光発電設備の再エネ電力を送電網につなぎ、自社拠点間で融通し合う『自己託送制度』なども活用しています。RE100加盟企業とも連携し、再生可能エネルギーの普及拡大に努めます」
企業としての存在意義。その前提に健全な社会と地球がある
「For the Next Generation」を掲げ、世界規模での社会貢献活動に励んできたソニーグループ。2020年には新型コロナウイルスにより影響を受けている方々を支援する「新型コロナウイルス・ソニーグローバル支援基金」を設立し、学習機会に制限が生じた子どもへのコンテンツ提供からクリエイターに対する創作活動の場づくりまで、その支援範囲は医療面だけにとどまらない。さらに同年には「Global SocialJustice Fund」を設立し、社会正義・人権保護に取り組む団体への支援やDE&I※2の推進を図っている。また、STEAM領域の教育プログラムを展開する「CurioStep」では、プログラミングや環境教育のワークショップなどを開催している。ソニーグループの森氏は次のように話す。
「当社の存在意義は、『クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす』こと。これは安心して暮らせる社会や健全な地球環境があって初めて成り立つものです。そのためにも、ソニーは、多様なリソースを持つグローバル企業としてステークホルダーと密に連携し、社会貢献活動への取り組みを推進していきます」
※1 出典:株式会社文化放送キャリアパートナーズ「就職ブランドランキング調査」https://toyokeizai.net/articles/-/578825
※2 DE&I=ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
掲載誌
今回のインタビューは、東洋経済新報社と株式会社WAVEが制作した「東洋経済ACADEMIC SDGsに取り組む大学特集 Vol.4」に掲載されています。
東洋経済ACADEMIC SDGsに取り組む大学特集 Vol.4「行動の10年」の新たなステージへ 持続可能な社会実現に向け加速する「連帯・連携」
2015年に国連で掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsをめぐる大学の活動は、啓発、実践を経て「行動の10年」を見据えたさらなる加速と深化が求められている。それらを具現化すべく、国際社会や地域社会における「連帯・連携」もパワフルに展開中であり、各界の注目は高まる一方である。本誌は、シリーズ第4弾として、国連、政府、産業等、バラエティ豊かな各大学の連携状況を克明にレポート。SDGsによる大学教育革新の中核に迫る。